施設探しで断られ続けた理由と解決策 在宅酸素・インスリン注射がある親の施設選び

介護

在宅酸素が必要になったとき、正直、施設への入所は難しいと思っていました。

在宅酸素やインスリン注射など、医療行為が必要な状態になると、施設探しは一気に難しくなります。「受け入れ可能」と書いてあっても、実際に問い合わせると「要相談」「難しい」と言われることが多いのが現実です。

実際に私も、面接まで進んで健康診断の予約まで取ったのに、突然「受け入れできない」と言われたこともありました。そのときの落胆は今でも忘れられません。

それでも最終的には、義父に合った施設を見つけることができました。

この記事では、在宅酸素が必要な状態で施設を探した実体験をもとに、同じ状況で悩んでいる方に向けて、私が経験して初めて知ったことをお伝えします。

一人で抱え込まないでください。ケアマネジャーに相談することで、状況に合った支援や施設が見つかることがあります。

在宅介護が限界になったきっかけ

義父の介護は、最初はそれほど大変ではありませんでした。週3回、仕事の途中に立ち寄ってお弁当を届け、休みの日には掃除をする。義父もまだ自分で料理ができていたので、お互いにうまくやっていました。

転機は在宅酸素が始まったときです。

それまでとは介護の内容がまるで変わりました。酸素ボンベを抱えてタクシーで受診に付き添い、薬の管理、状態が変わるたびに薬のセットを変更する。訪問看護師が週1回、ヘルパーが週2回入ってくれていましたが、足りない部分はすべて私が担っていました。

そのころ私自身も脳出血で倒れ、医師から運転を禁止されていました。自分の体も万全ではない中で、義父の介護を続けることが精神的にも体力的にも限界になっていました。

医療行為があると施設探しが難しい理由

老人ホームには、対応できる医療行為に限界があります。

在宅酸素やインスリン注射などの医療的ケアが必要な場合は、施設によって受け入れ条件が異なります。そのため、受け入れが難しいケースもあります。ホームページに「医療対応可」と書いてあっても、実際に問い合わせると「在宅酸素は難しい」「インスリン注射は自己注射ができる方のみ」と言われることが少なくありません。

また、有料老人ホームの入居条件は施設によって異なりますが、自立した生活ができる方を主な対象としている施設もあります。できないことが増えてくると、外部のヘルパーを別途手配する必要があり、その分費用も上がっていきます。

私が施設探しをした際には、介護度が低く認知症がない義父について、受け入れが難しいと感じる場面がありました。その理由は施設から明確に説明されたわけではありませんが、医療的ケアや施設の運営方針など、さまざまな要因があったのではないかと感じています。

義父がまさにそうでした。自分のことはしっかり理解していたため、納得できないことには自分の考えを伝える方でした。施設から理由の説明はありませんでしたが、私は医療的ケアの必要性や施設の運営方針など、さまざまな要因が重なっていたのではないかと感じています。

施設探しは「条件さえ合えば入れる」というものではありません。施設側にも、受け入れやすい入居者像があるのが現実です。

面接まで進んでから断られた経験

施設探しで一番つらかったのは、面接まで進んだのに突然断られたことです。

ケアマネさんからもらったリストをもとに、電話で問い合わせ、資料を取り寄せ、見学をして、面接まで進みました。健康診断の予約まで取ったのに、その後に「やはり受け入れが難しい」と連絡が来たときは、言葉が出ませんでした。

断られた理由について施設から詳しい説明はありませんでした。そのため、医療的ケアの必要性や施設の受け入れ体制など、複数の要因があったのではないかと考えています。

自分の意思をしっかり持っている方は、施設のルールや環境が合わないときに声を上げます。それがトラブルにつながると判断されることがあるのです。

何度断られても、あきらめないでください。条件に合う施設は必ずあります。ただ、一人で探すには限界があります。次の章でお伝えする方法が、私にとっての突破口になりました。

訪問診療への切り替えが転機になった

施設探しと並行して、在宅での介護体制を整えることも必要でした。

当時一番負担だったのが、酸素ボンベを抱えてタクシーで病院に付き添うことでした。受診して、薬をもらって帰るだけで半日かかります。私自身も脳出血の後遺症で体力が落ちていたため、この付き添いが本当につらかった。

転機になったのは、薬局の薬剤師さんから「自宅に薬をセットしに来ることができますよ」と教えてもらったことです。

すぐにケアマネさんに相談し、訪問診療に切り替えることになりました。医師が自宅に来てくれるので、病院への付き添いが不要になりました。薬の管理も薬剤師さんが自宅でセットしてくれるようになり、私の負担が一気に減りました。

訪問診療に切り替えてから、ようやく施設探しに専念できるようになりました。

もし病院への付き添いが負担になっているなら、まずケアマネさんに訪問診療への切り替えを相談してみてください。知らないだけで、使えるサービスはたくさんあります。

入居できた決め手

訪問診療に切り替えて施設探しに専念できるようになりましたが、在宅酸素の問題はまだ残っていました。

在宅酸素が始まるとき、またインスリン注射が始まるとき、病院で使い方の指導があります。そのときにしっかり自分でできるように練習しておくことが大切です。「なんとなくわかった」で終わらせず、その場で何度も練習しておくことをおすすめします。

在宅酸素のボンベ交換、インスリンの自己注射、どちらも施設によっては、「自分でできる」ことが受け入れ条件の一つとなる場合があります。元気なうちにしっかり身につけておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。

多くの施設で断られた最大の理由のひとつが、酸素ボンベの交換でした。スタッフが24時間対応できるわけではないため、自分で交換できるかどうかが施設側の判断基準になります。そこで訪問看護師さんと一緒に、義父が自分でボンベを交換できるよう練習を重ねました。できるようになったかどうかの確認も、訪問看護師さんにお願いしました。

もうひとつ、意外と見落としがちなことをお伝えします。酸素ボンベは業者の方が定期的に配送に来ます。その際、配送の方がボンベの残量を確認して交換できる場合があります。私は配送の方に「残量が少ないときはついでに交換してもらえますか」とお願いしていました。ただし、これは配送業者や担当者によって対応が異なります。してもらえる場合とそうでない場合があるので、一度確認してみてください。

私の場合は、ボンベ交換を自分で行えるようになったことが、受け入れにつながった要因の一つだったと感じています。施設を選ぶ際には自分の職場の近くであることも条件にしました。何かあったときにすぐに駆けつけられる距離が、介護する側にとっても安心につながります。

※医療行為の手技は自己判断で行わず、必ず医師・訪問看護師の指導を受けた上で実施してください。

有料老人ホームを選ぶ際の注意点

有料老人ホームは施設によって入居条件や受け入れ体制が異なります。

食事・トイレ・着替えなど、日常生活の基本的なことが自分でできる状態であることが前提です。できないことが増えてくると、外部のヘルパーを別途手配する必要があります。これが追加費用として発生するため、思っていたより費用がかかるというケースが少なくありません。施設を選ぶ際には、月額費用だけでなく「自立できなくなったときにどうなるか」も必ず確認してください。

また、有料老人ホームは施設によって医療対応の範囲が大きく異なります。見学の際には以下を必ず確認することをおすすめします。

  • 在宅酸素の受け入れは可能か
  • インスリン注射など医療行為の対応範囲はどこまでか
  • 夜間の緊急時の対応はどうなっているか
  • トイレや共用設備のメンテナンス体制はどうか

もうひとつ、見落としがちな確認ポイントがあります。それは入居者の状態レベルです。

有料老人ホームといっても、入居者の多くが認知症という施設もあれば、比較的自立した方が多い施設もあります。認知症のない方が認知症の方が多い施設に入ると、生活環境が合わずにストレスになることがあります。

私が見学した施設の中には、見学時には入居者の生活の様子が分かりにくいと感じた施設もありました。つまり見学時には実態が見えにくいこともあるということです。見学の際には「入居者の介護度の平均はどのくらいですか」「認知症の方はどのくらいいらっしゃいますか」と率直に聞いてみてください。

また、比較的クリアな方同士が仲良くなることがあります。それ自体はとても良いことですが、仲良くなった方が亡くなったときの悲しみやショックは想像以上に大きいです。施設に入れば安心というわけではなく、心のケアも必要になることを覚えておいてください。

入居者同士の相性も重要です。考え方が合わない方と食堂で隣になることもあります。良い施設は席の配置を工夫したり、食事の時間をずらすなど、細かい配慮をしてくれます。スタッフが入居者にどう接しているか、細かいところまで目を向けてみてください。

見学の際に「介護職員の配置体制や、看護職員の勤務体制」について確認してみるのも参考になります。資格があれば必ずしも良いケアができるとは限りませんが、施設の人材育成への姿勢や体制を知る参考になります。聞いたときの担当者の答え方や反応も、施設選びのヒントになります。

ケアマネへの相談が一番の近道

施設探しで一番大切なことをお伝えします。それは一人で抱え込まないことです。

私が経験して実感したのは、ケアマネさんへの相談が一番の近道だということです。訪問診療への切り替えも、施設のリスト集めも、施設側との交渉も、ケアマネさんがいなければ乗り越えられなかったことばかりでした。

ケアマネさんは地域の施設情報を持っています。「在宅酸素あり」「インスリン自己注射あり」といった条件でも受け入れ可能な施設を把握していることがあります。自分でネット検索するよりも、ケアマネさんに条件を伝えて探してもらう方が確実で早いです。

もし今のケアマネさんに相談しにくいと感じているなら、変更することもできます。合わないと感じたら早めに相談してみてください。

施設探しに正解はありません。断られても、時間がかかっても、あきらめないでください。条件に合う施設は必ずあります。そしてその道を一緒に探してくれるケアマネさんの存在が、家族にとって一番の支えになります。

※受け入れ条件や利用できるサービスは施設や地域によって異なります。最新の情報はケアマネジャーや地域包括支援センター、各施設へご確認ください。

参考資料

厚生労働省「高齢者介護」
厚生労働省「介護サービス情報の公表制度」
介護サービス情報公表システム


※本記事は公開日時点の情報をもとに作成しています。制度・法律・サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は各自治体・厚生労働省などの公的機関でご確認ください。

※この記事は私さくらこの実体験・個人的な見解をもとにした情報です。介護・医療・法律・税務・相続などに関する判断は、必ず専門家(医師・弁護士・税理士・ケアマネジャー等)にご相談ください。本サイトの情報を参考にされた場合の結果について、運営者は責任を負いかねます。

さくらこ

はじめまして。
「さくらこ」です。
元看護師。関東在住で
高齢の母と暮らしながら実母・義父の介護、看取り、相続手続きを経験。
自身も脳出血で倒れ、後遺症と付き合いながら暮らしています。
介護・終活・葬儀について、現場で得た知識と実体験をもとに
発信しています。

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