身元保証人がいないおひとりさまはどうなる?アパート・病院・施設で困った実体験と備え方

終活

2022年、58歳で脳出血を経験し、無職になったとき、まず直面したのが「住む場所」の問題でした。

アパートを探した際、保証人や緊急連絡先について確認されることが何度もありました。
連帯保証人を立てられず、家賃保証会社の審査も通らない場合には、契約が難しくなることもあります。

このとき初めて、「連帯保証人がいないことがこんなに大変なのか」と身に染みました。

身元保証人が必要になる場面

住まいでは連帯保証人や家賃保証会社、入院や施設入居では身元保証人や緊急連絡先を求められることがあります。呼び方や役割は異なりますが、頼れる人が少ないおひとりさまにとっては、どれも切実な問題です。

  • アパート・賃貸契約のとき……連帯保証人や緊急連絡先を求められることがあります。家賃保証会社を利用できる物件もありますが、収入や資産、年齢などを含めて審査されます。
  • 入院・手術のとき……緊急連絡先、入院費の支払い、退院支援、本人の意思を確認できない場合の情報提供などについて、家族や関係者への連絡を求められることがあります。ただし、身元保証人がいないことだけを理由に入院を拒否することは適切ではないとされています。
           参考:厚生労働省「身寄りがない人への対応について
  • 老人ホーム・有料老人ホームへの入居……施設によって条件は異なりますが、入居時に身元保証人や身元引受人などを求められることがあります。私自身、義父の施設を探していたとき、保証人などの条件が合わず、入居を断られた経験がありました。この経験から、施設を探す際には費用や場所だけでなく、「身元保証人がいない場合でも入居できるのか」を早めに確認しておくことが大切だと感じています。
  • ヘルパー・訪問介護の利用契約……事業所によっては、緊急連絡先や代理で連絡できる家族・関係者の情報を求められることがあります。
  • 亡くなったあとの手続き……遺体の引き取り、葬儀、納骨、住居や家財の整理などを誰が行うかが問題になります。身元引受人や親族など、対応する人が決まっていない場合、病院や施設が対応に苦慮することがあります。

こうして並べると、生活のさまざまな場面で、保証や緊急連絡、手続きを担う人が求められることがわかります。

あの日、姪がいなかったら

脳出血で倒れたとき、たまたま姪が一緒にいてくれました。

救急車の中に同乗してくれて、病院での書類の対応も、母や会社への連絡も、全部やってくれました。

もし姪がいなかったら?

母は高齢で、軽い認知症もあります。一人では到底対応できません。
私が一人で倒れていたら、救急隊員に「緊急連絡先は?」と聞かれても、意識がなければ答えられない。

考えると、ゾッとします。

あのとき助けてくれた姪には、心から感謝しています。でもだからこそ、「いつまでも姪に頼っていてはいけない」という気持ちが強くなりました。

家族に頼ることの限界

妹は私と3つしか違いません。

今は元気でいてくれますが、これから先、妹自身が夫の介護をする時期が来るかもしれない。妹だって年を取ります。自分の体だって、いつどうなるかわからない。

甥や姪も、今は独身だったり若かったりしますが、これから結婚して子育てが始まれば、私のことにかかわる時間も体力も限られてきます。「おばちゃんのために」と言ってくれても、それに甘え続けるのは違う、と思うようになりました。

私はいくつもの病気を抱えています。これから先、施設に入る可能性だって十分あります。

自分のことは、自分で考えなければ。

そう強く思うようになったのは、脳出血を経験してからのことです。

体が動かなくなったとき、誰が動く?

今は自分で動けますが、将来、体が思うように動かなくなったとき、誰が手続きをしてくれるのでしょう。

ヘルパーを頼むときも、契約書へのサインが必要です。施設に入るときも、入居契約があります。入院すれば、治療方針の同意書があります。

さらに心配なのが、認知症が始まった場合

判断力や記憶力が少しずつ低下してきたとき、自分の財産を守れるか。
悪意のある人に騙されないか。契約書の内容が正しく理解できているか、確認してくれる人がいるか。

この不安が、一番大きいかもしれません。

住む場所でも直面した現実——市営・県営住宅からUR賃貸へ

引っ越しを考えたとき、最初に市営・県営住宅(公営住宅)を調べました。家賃が安く、収入が少ない人向けというイメージがあったからです。

私が当時調べた自治体の公営住宅では、単身で申し込む場合に、年齢や障害、生活保護受給などの条件が設けられていました。また、世帯の状況や住宅・資産に関する条件も確認され、私たちは対象になりませんでした。公営住宅の申込条件は自治体や募集住宅によって異なります。

当時調べた自治体の単身申込条件の例私の場合
60歳以上(高齢者単身向け)当時58歳→対象外
障害者手帳(身体・精神・療育)脳出血後も認定されず→対象外
生活保護受給者該当なし
DV被害者該当なし

脳出血後も、私は障害者とは認められませんでした。「歩ける・食べられる・聞こえる」からです。橋脳出血の後遺症であるめまい・立ちくらみ・耳鳴りは看護師として致命的な影響でしたが、障害認定の基準には届きませんでした。

「それなら母の名義で申し込めないか」とも考えました。しかし、私が当時調べた公営住宅では、住宅や資産に関する条件もあり、母との世帯でも申込み条件を満たせませんでした。

公営住宅は収入条件だけで決まるわけではなく、単身で申し込む場合には年齢や世帯状況など、複数の条件があることを初めて知りました。

保証人が不要な住まいの一例としてUR賃貸

保証人を立てることが難しい人の選択肢の一つに、UR賃貸があります。

UR賃貸では、契約時の連帯保証人と家賃保証会社が不要です。ただし、所定の収入基準など、申込み資格を満たす必要があります。

収入基準を満たさない場合でも、貯蓄基準制度や家賃等の一時払い制度、一定の条件を満たす親族との収入合算などを利用できる場合があります。

私も住まいを探した際には、保証人の有無だけでなく、収入や資産、今後の生活費を含めて検討しました。

※申込み資格や利用できる制度は変更される可能性があります。最新の条件は、UR都市機構「お申込み資格」でご確認ください。

身元保証人がいない場合に検討できる制度やサービス

「家族がいない=詰み」ではありません。身元保証人がいない場合でも、困りごとに応じて利用を検討できる制度や民間サービスがあります。ただし、一つの制度ですべてに対応できるわけではありません。

① 成年後見制度(任意後見・法定後見)

成年後見制度は、判断能力が十分でなくなった人の財産管理や、介護サービス・施設入居などの契約を支援する制度です。ただし、成年後見人が身元保証人になることや、医療行為への同意、亡くなった後のすべての手続きを当然に行えるわけではありません。必要に応じて、死後事務委任契約など別の準備と組み合わせて考える必要があります。
十分な判断能力があるうちに、将来支援を依頼する人と公正証書で契約しておくのが「任意後見」です。すでに判断能力が落ちてから申し立てるのが「法定後見」です。任意後見が適しているかどうかは、財産状況や家族関係によって異なるため、専門家や自治体の相談窓口で確認する方法があります。

② NPO法人・一般社団法人の身元保証サービス

身元保証を専門に請け負うNPO法人や一般社団法人があります。入院・施設入居・日常生活のサポートまで、まとめて引き受けてくれるところもあります。ただし、団体によってサービス内容や信頼性に差があるため、契約内容や費用、解約条件を十分確認したうえで利用を検討しましょう。

③ 死後事務委任契約

葬儀、納骨、行政手続き、住居の明け渡しなどを誰に依頼するか、あらかじめ決めておく方法の一つです。契約内容や受任者によって対応できる範囲が異なるため、施設の求める条件をすべて満たすとは限りません。

④ 日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)

判断能力に不安があるものの、事業の利用契約については理解できる方を対象に、福祉サービスの利用手続きや日常的な金銭管理などを支援する制度です。身元保証を引き受ける制度ではありませんが、地域の社会福祉協議会に相談するきっかけになります。

参考:厚生労働省「日常生活自立支援事業」

先立つもの(お金)の問題

こうした選択肢を調べて思うのは、どれもタダではないということです。

NPO法人や一般社団法人などの民間サービスでは、入会金、月額料金、預託金などが必要になる場合があります。料金体系や解約時の返金条件は団体によって大きく異なります。
任意後見の契約も、公正証書の作成費用や、後見が始まった後の報酬がかかります。

年金だけで生活している身には、正直「先立つものが…」と思います。

ただ、私が今感じているのは、元気なうちに動いておかないと、選択肢が減っていくということ。

判断能力があるうちに任意後見契約を結んでおく、死後事務委任契約を決めておく——これは今できることです。体が動かなくなってからでは、動きたくても動けません。費用については、今の生活費を見直しながら少しずつ準備していくしかないと思っています。

まとめ

身元保証人がいないことは、おひとりさまにとってとても切実な問題です。住む場所を探すときから、入院・施設入所・亡くなった後まで、ありとあらゆる場面で壁にぶつかります。

でも、家族がいないからといって「どうしようもない」わけではありません。今は、専門家や公的機関が担ってくれる仕組みが少しずつ整いつつあります。

大切なのは、判断能力があるうちに動くこと。元気なうちにエンディングノートを書き、自分の意思を残しておくことも、その一歩です。

先立つものはお金、というのは事実です。でも私は、コロナ禍を現場で経験し、甥の突然死や自分が脳出血で生死をさまよいました。そして、「生きるとは何か」を何度も考えさせられてきました。

老後の準備をすることは確かに大切です。でも「今現在」も、同じくらい大切です。

質素な生活でいい。今日という日を穏やかに過ごせて、時々自分にとっての至福の時間があれば十分です。そのためにも家計をしっかり管理し、何が無駄で、何が自分にとって本当に価値のあるお金の使い方なのかを考えるようになりました。その結果、住まいにかかる費用や今後の暮らし方も見直しました。

母との暮らしや自分の健康状態が変われば、将来は住まいを見直すことになるかもしれません。再び引っ越す可能性も考え、ものを増やしすぎないようにしています。

先のことを考えながら、今日を丁寧に生きる。それが今の私のスタンスです。

身元保証人がいないことは不安ですが、元気なうちに準備を始めることで選択肢は広がります。
私自身もまだ準備の途中です。
同じような立場の方が「今できること」を考えるきっかけになれば幸いです。

「60代おひとりさま終活シリーズ」について

身元保証人の問題を調べ始めたことで、私は「亡くなった後の備え」だけではなく、「長く生きた場合の備え」も必要だと気づきました。

任意後見、相続、年金、住まい、お金。

どれも一度に答えは出ません。

私自身も調べながら、一つずつ準備を進めています。

この「60代おひとりさま終活シリーズ」では、その過程も含めて記録していこうと思います。

同じような不安を抱える方の、小さなヒントになれば幸いです。

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※本記事は公開日時点の情報をもとに作成しています。制度・法律・サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は各自治体・厚生労働省などの公的機関でご確認ください。

※この記事は私さくらこの実体験・個人的な見解をもとにした情報です。介護・医療・法律・税務・相続などに関する判断は、必ず専門家(医師・弁護士・税理士・ケアマネジャー等)にご相談ください。本サイトの情報を参考にされた場合の結果について、運営者は責任を負いかねます。

さくらこ

はじめまして。
「さくらこ」です。
元看護師。関東在住で
高齢の母と暮らしながら実母・義父の介護、看取り、相続手続きを経験。
自身も脳出血で倒れ、後遺症と付き合いながら暮らしています。
介護・終活・葬儀について、現場で得た知識と実体験をもとに
発信しています。

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