グリーフケアとは何か してあげればよかったという後悔と悲しみへの向き合い方を実体験をもとに解説

終活

大切な人が亡くなったあと、「もっとこうしてあげればよかった」という後悔が頭から離れなくなることがあります。

美味しいご飯を作ってあげればよかった。体の変化に気づいてあげられなかった。もっと優しい言葉をかけてあげればよかった。些細なことでふと思い出しては、胸が痛くなる。

そんな気持ちを抱えているのは、あなただけではありません。これは「グリーフ(悲嘆)」と呼ばれる、大切な人を失ったときの自然な反応です。

グリーフとは何か

グリーフとは、大切な人を失ったときに生じる悲しみや苦しみの総称です。悲しみだけでなく、怒り・罪悪感・無気力・後悔・安堵感など、さまざまな感情が入り混じります。

「こんな気持ちを持ってはいけない」と思う必要はありません。どんな感情も、あなたがその人を大切に思っていた証です。

子どもを失う悲しみ

親より先に子どもが亡くなることは、「順序が逆になる」という感覚を伴います。これは親にとって特別に辛い悲しみです。

私の甥は20歳で突然この世を去りました。youtuberになりたいという夢を持っていた、これからという年齢でした。

今でも思うことがあります。もっと夢を応援してあげればよかった。海外旅行に連れて行ってあげたかった。恋をしたのだろうか。色々な経験をさせてあげたかった。

甥が元気だったころ、体育会系の部活をしていた甥のために、よくお弁当を作りました。育ち盛りだからと唐揚げやお肉をたくさん詰めると「茶色いお弁当やな」と笑われて。トマトやブロッコリーを添えると「これはおかずにならない」と言われて。

それでも、お弁当箱が空になって戻ってくると、ほっとしました。残っていると「お腹の具合が悪いのかな」と心配しました。お腹が弱い子だったので。

今でもスーパーで唐揚げを見かけると、ふと思い出します。なんでもない瞬間に、急に胸が痛くなる。

こういう気持ちは私だけではないと思います。親御さんであれば、さらにそれ以上に自分を責めていることでしょう。でも、後悔できるのは、それだけ愛していたからです。

突然の死はなぜこんなに辛いのか

突然死の場合、「覚悟する時間」がありません。別れを告げる機会もなく、日常が突然断ち切られます。だからこそ「あのとき〇〇しておけばよかった」という後悔が強く残りやすいのです。

これはあなたのせいではありません。誰も突然の別れに備えることはできないのです。

親を失う悲しみ

「いつかはこの日が来る」と分かっていても、実際に親を失う悲しみは想像以上のものがあります。

長い間介護をしていた場合、亡くなったあとに「解放感」を覚えることがあります。その後に「こんな気持ちを持ってはいけない」という罪悪感が押し寄せてくることも。でもそれは、それだけ長く一生懸命介護をしてきた証です。

また「これで自分が次の番だ」という感覚を覚える方もいます。親の死は、自分自身の死を意識させるきっかけにもなります。

コロナ禍で会えなかった後悔

コロナ禍では、施設や病院への面会が制限されました。「会いに行きたくても行けなかった」という後悔を抱えている方は多いと思います。

私も、身近な人がコロナ禍で亡くなったとき、面会に行けなかったことをずっと気にしていました。さぞかし不安だったのではないかと。でも今は、できる範囲で精一杯関わっていたと思うようにしています。あの状況では、誰にも防ぎようがなかったのですから。

複雑な関係の人を失う悲しみ

仲の良かった人を失う悲しみだけがグリーフではありません。疎遠だった親、複雑な関係だった人が亡くなったときの悲しみは、また別の難しさがあります。「ちゃんと悲しんでいいのだろうか」という戸惑いが生まれやすいのです。

私自身、複雑な関係だった人を見送ったとき、後悔と複雑な気持ちが入り混じりました。もっと優しくしてあげればよかったという後悔。でも一方で、その人はその人なりに好きなように生きていたのではないかという気持ちも。

そして「長い間寝たきりにならずに亡くなったのは、その人らしい亡くなり方だったね」と周りから言われたとき、少し気持ちが楽になりました。死に方に「その人らしさ」を感じられることが、残された人の心を和らげることもあるのだと知りました。

こうした複雑な感情を「複雑性悲嘆」といいます。これも立派なグリーフです。どんな関係であっても、悲しんでいいのです。

喧嘩したままのお別れ

仲の良い兄弟姉妹でも、喧嘩は絶えないものです。でも「次に会ったときに仲直りしよう」と思っているうちに、突然のお別れが来てしまうことがあります。

喧嘩したままのお別れは、一層後悔が残ります。「あのとき素直になれていれば」「最後にちゃんと話せていれば」という思いが、ずっと心に残り続けることがあります。

でも喧嘩できるのは、それだけ近い関係だったから。仲が良かった証でもあります。

身近な人を亡くした姪が、最近よく遊びに来ては母に冗談混じりで「I LOVE you」と言うようになりました。戯けた言い方でも、その言葉の裏に何かを感じます。残された人たちは、それぞれのやり方で、大切な人への思いを誰かに向けながら生きているのかもしれません。

「ふと思い出す」瞬間について

グリーフは時間が経てばなくなるものではありません。ふとした瞬間に思い出して、突然悲しくなることがあります。

お弁当箱を目にしたとき。好きだった食べ物を見かけたとき。なんでもない日常の中で、「あ、あの人はもういないんだ」と気づいて胸が痛くなる。

これは異常なことではありません。大切な人が確かにそこにいた証です。悲しみは、消えなくていいのです。

悲しみの中で、人は何かに縋ろうとする

グリーフの中にいると、人は「何かに縋りたい」という気持ちになることがあります。

私もそうでした。

甥が亡くなってから、占いにのめり込む時期がありました。元々風水が好きで本もよく読んでいましたし、毎年来年の運勢を書いた本も買っていました。でも甥を亡くしてからは、それ以上に風水を気にして、占いに頼るようになっていきました。

甥にはある約束をしていました。「YouTuberになりたいなら、パソコンが使えないといけない。WindowsかMac、自分で調べて好きな方を買ってあげる」と。ちょうどコロナ禍で国から一人10万円が支給されたころで、その10万円を甥へのパソコン代にしようと思っていたのです。

でも、購入する前に甥は逝ってしまいました。

行き場を失ったその10万円と、行き場を失った私の気持ち。そのお金が最終的に占いに使われていったことに、今は少し反省しています。でもあの頃の私には、何かにしがみつかなければ前に進めなかったのだと思います。

悲しみの中で、人は「もし〇〇だったら」「これをすれば大丈夫なはず」と思いたくなります。占い・風水・おまじない・神社へのお参り。それ自体が悪いわけではありません。ただ、それが「悲しみから逃げるため」だけになっているときは、少し立ち止まって自分の気持ちを確認してみてほしいのです。

グリーフケアとは何をすること?

グリーフケアとは、悲しみを「治す」ことではありません。悲しみと「一緒に生きていく」ための方法を見つけることです。

自分でできるグリーフケア

  • ジャーナリング(書くこと) 思ったことをそのまま紙に書き出す。うまく書けなくていい。書くことで気持ちが整理され、自分の感情に気づくことができます
  • 気持ちを誰かに話す 友人・家族・専門家に話すことで気持ちが楽になります
  • 自然に触れる 散歩や外の空気を吸うだけで心が少し軽くなります
  • 故人を思い出す時間を作る 写真を見たり、好きだったものを食べたり
  • 無理に「立ち直ろう」としない 悲しむ時間も大切です

してはいけないこと

  • 「もう泣いてはいけない」と自分を追い込む
  • 悲しみを一人で抱え込む
  • 「早く立ち直らなければ」と焦る

家族より他人に話す方が、楽になることがある

グリーフの中で気づいたことがあります。

意外と、家族より友達や専門家に話す方が楽になることがある、ということです。

私は家族の中で、一家の主人のような立場でした。弱みを見せてはいけない、しっかりしなければという気持ちが強かった。だから家族の前では強がっていたのだと思います。

でも友達や、ブログを書くという行為を通して、少しずつ気持ちが整理されていきました。このブログを書いていて、改めてそのことを感じています。

家族には心配をかけたくない。家族の前では泣けない。そういう方は多いと思います。でも誰かに「話す」ということは、グリーフケアの中でもっとも大切なことの一つです。

相手は友達でも、専門家でも、日記でも、ブログでもいい。形はなんでもいいのです。言葉にして外に出すことで、ようやく自分の気持ちに気づけることがあります。

強くある必要はありません。誰かの前で、少しだけ弱くなってみてください。

悲しみは消えなくていい。一緒に生きていく

グリーフに「終わり」はありません。時間が経つにつれて、悲しみの形は少しずつ変わっていきますが、大切な人への思いは消えません。

それでいいのだと思います。

悲しみは、その人が確かに存在していた証。忘れることが「立ち直り」ではなく、その人を心の中に持ちながら前を向いて生きていくことが、グリーフと向き合うということだと、私は思っています。

最後に、私が悲しいときに思い出す言葉

悲しみの中にいるとき、友人にも伝えてきた言葉があります。

「幸せのひとつの扉が閉ざされたら、別の扉が開くもの。でも私たちは閉じた扉を長いこと見つめていて、その開いた扉が見えないことが多い。」

― ヘレン・ケラー

閉じた扉をずっと見つめてしまう気持ち、私にもよく分かります。でもきっと、どこかに開いた扉があるはずです。今はまだ見えなくていい。ただ、そのことだけ心の片隅に置いておいてもらえたらと思います。

一人で抱え込まないで。相談できる場所があります

悲しみが深すぎて、日常生活に支障が出ている場合は、専門家に相談することをおすすめします。グリーフケアの専門家や、心理士・カウンセラーに話を聞いてもらうだけで、気持ちが楽になることがあります。

  • 📞 よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)
  • 📞 こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
  • 📞 市区町村の心理相談窓口(無料・要予約)

「こんなことで相談していいのかな」と思わなくて大丈夫です。悲しいときは、誰かに話すだけでいい。私もそうでした。

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