「お墓のことは、元気なうちに考えなくていい」——そう思っている人は多いと思います。私もそうでした。でも実際に義父のお墓と向き合い、甥を突然失い、自分が死にかけてから、考えが変わりました。
元気なうちは「橋の下に投げていい」と笑っていた義父が
義父は元気なころ、「死んだら橋の下に投げていい」「献体でかまわない」と冗談めかして言っていました。お墓や供養にこだわりはない。そういう人でした。
でも体力が落ちてくると、気持ちが変わりました。「やっぱり、両親が眠るお墓に入りたい」と言うようになったのです。
元気なときの言葉と、最期のときの気持ちは違うことがあります。だからこそ、本人の希望を早めに聞いておくことが大切だと感じています。
義父のお墓では、納骨に戒名が必要だった
義父をお墓に入れることを住職に相談したとき、こう言われました。
「戒名がなければ、このお墓には入れません。このままでは無縁仏になる可能性もあります」
義父のお墓では、納骨するために戒名が必要だと説明されました。戒名や納骨の条件は寺院・宗派・墓地の規則によって異なるため、事前に確認することが大切です。
「無縁仏」という言葉をきっかけに墓じまいを考えた
「無縁仏」という言葉が頭から離れず、帰宅してすぐに検索しました。さまざまな情報が出てきます。
でも調べていくうちに感じたのは、制度や手続き以上に、自分と家族の気持ちのあり方が大切だということでした。
私が墓じまいを決めたのは、感謝の気持ちがあったからです。長い間、義父のお墓と向き合い続けてきた。先祖を大切にしたいという気持ちがあったからこそ、きちんと墓じまいをしようと思えました。
住職との話し合いができたことも大きかったです。そして何より、自分が脳出血で死にかけた経験が背中を押してくれました。「いつかやろう」では間に合わないこともある。今、動けるうちに動いておこうと思えたのです。
使用料を払い続けてきたことを住職に説明した
義父と母が別れてから、義父のお墓の使用料だけは払い続けようと母と二人で話し合って決めました。経緯がどうであれ、義父がお世話になった場所です。15年以上、払い続けました。
住職にそのことを伝えると、こう言われました。
「使用料を払い続けてきた方に権利があります」
その一言が救いになりました。その後、義父の妹の夫に墓じまいの相談をしました。最初は断られましたが、「お金は一切いりません。手続きもこちらでやります」と伝えることで、後に了承していただきました。
これは私が住職から受けた説明です。墓地の使用権や承継の扱いは、墓地の使用規則、契約内容、親族関係などによって異なります。墓じまいや名義の変更を考える場合は、寺院・霊園の管理者へ確認する必要があります。
遠いお墓は、誰が守るのか
甥は20歳で突然亡くなりました。そのお墓は妹が住む場所からかなり離れており、駅からも遠い場所にあります。妹は車を運転できず、旦那方の親戚との関係もあるため、遺骨を移すことが難しい状況です。
また、私の母は福島生まれで今は神奈川に住んでいます。高齢になった母には福島まで墓参りに行くことが難しくなっています。「お墓はある。でも、行けない」という現実が、少しずつ近づいています。
お墓の年間維持費はいくらかかるのか
「お墓にかかるお金」というと、墓じまいや葬儀の費用に目が向きがちです。でも実際には、毎年かかる維持費も無視できません。
甥が眠っているお墓の年間使用料は数千円程度です。義父のお墓は年間3万円ほどで、簡単な草取りも含まれていました。
ただし費用はそれだけではありません。お墓が遠い場合、交通費と時間が大きな負担になります。若い頃は車で両親を乗せて年に1度は墓参りに行っていましたが、車が使えなくなると一気に難しくなりました。
・管理費:墓地や契約内容によって異なる
・お墓参りの交通費:距離や交通手段によって異なる
・お花・お線香などのお供え:回数や内容によって異なる
・墓石の修繕費:状態によって必要になる場合がある
維持費の負担が続く中で「このままでいいのか」と感じたとき、墓じまいを考え始める方が多いようです。費用の詳細は墓じまいの進め方と費用実例の記事で詳しく解説しています。
母は海洋散骨を希望している
母は知人が海洋散骨をしたという話を聞き、「私も散骨がいい」と言うようになりました。長男は近くにお墓を購入して母が亡くなればそこに入れるつもりでいますが、母の希望は散骨です。家族の中でまだ答えは出ていません。
「正解はない。残される側の気持ちと、逝く本人の気持ちはどちらも大切」・・・そう思っています。
私自身は、海に還りたい
私自身は一時期「献体」を考えたこともありました。医学の役に立つならそれでいいと思っていた時期もありました。でも最終的には散骨を選ぼうと考えています。
海が好きで、海に還りたいという気持ちが自然と出てきました。すでにパンフレットを取り寄せ、家族にも伝えています。海の近くに引っ越すことを決めたとき、家族から「津波が来たら危ない」と心配されましたが、「もし津波に流されても、遺体が見つからなくても探さなくていい」と伝えました。
東日本大震災で遺体が見つかるまで何年も探し続ける家族の姿をニュースで見て、「残された人がそこまでしなくていいように、自分のことは自分で決めておきたい」と思うようになりました。

お墓を継ぐ人がいない場合はどうすればいいか
私自身は結婚しておらず、子どももいません。「自分が亡くなった後、お墓を誰が守るのか」という問題は、他人事ではありません。
甥が突然逝って、自分も死にかけた。その経験から、お墓に眠るというイメージが変わりました。本にも歌にもあるように、逝った人はお墓の中に閉じ込められているのではなく、大空を自由に駆け回っているのだと思うようになりました。
お墓を継ぐ人がいない場合の主な選択肢はこちらです。
- 永代供養墓・合葬墓 寺院や霊園が、契約内容に基づいて供養・管理します。一定期間後に合葬される場合もあるため、供養期間や管理方法を確認することが大切です。
- 樹木葬 木や花の下に埋葬される。墓石が不要で費用を抑えやすい
- 海洋散骨 遺骨を粉骨して海へ散骨する方法です。費用は、合同散骨・貸切散骨・委託散骨などの方法や事業者によって異なります。
- 手元供養との組み合わせ 散骨しながら一部を手元に残す。手を合わせる場所が欲しいという気持ちにも寄り添える
海洋散骨を考えるなら
海洋散骨の種類や費用、後悔しないための注意点については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶︎ 散骨という選択 なぜ選ぶのか・種類と費用・家族への伝え方をまとめて解説
答えは一つじゃない。時と共に変わっていい
義父も元気なころは「橋の下に投げていい」と言っていたのに、最後は「両親のそばに」と願いました。気持ちは変わる。それでいいのです。
大切なのは「今、自分はどう思っているか」を誰かに伝えておくこと。そして残された人が抱える気持ちに、少しでも寄り添えること。
お墓の問題は死の問題ですが、同時にどう生きるかという問いでもあります。答えを急がなくていい。ただ、考え続けることをやめないでいたいと思っています。
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