墓じまいは一度きりの手続きであり、親族関係・費用・書類準備など複数の要素が関わります。
この記事では一般的な手順に加え、筆者が実際に行った墓じまいの費用内訳や合意形成の過程を整理しました。
※地域・宗派・契約内容により手続きや費用は異なります。詳細は自治体・寺院・霊園へご確認ください。
墓じまいを決めた経緯
墓じまいを考えるようになったのは、自分が脳出血で倒れてからでした。
私が倒れた時、姪は医師から「覚悟しておいてください」と言われていたそうです。
退院してから、真剣に考えました。自分が死んだら、義父のお墓はどうなるのか。誰が管理するのか。
ちょうどその頃、甥の突然死もあり、先祖という存在を強く感じ始めていました。
そんな時、ふと思い出したことがありました。何年か前に義姉が家の仏壇を見て「離婚したのに、なぜ元旦那のご先祖様の仏壇があるの?」と母に尋ねてたことがありました。母は「元旦那の親には罪がない。元旦那のお姉さんにはよくしてもらったから、毎日手を合わせているだけ」と答えていました。
その言葉を思い出したとき、気づきました。本来なら、母方の先祖に手を合わせるべきではないか。
そこで義父の両親が眠るお寺の住職に電話をして相談しました。母から「仏壇を処分するには魂抜きをしてからでないとダメ」と聞いていたため、まず仏壇の魂抜きの相談から始めました。住職は「仏壇の一部を持ってきてくれれば魂抜きできます」と言ってくださり、引き出しの一部を持ってお寺に伺いました。
その時に「義父が亡くなったら、両親の眠るお墓に入れたい」と相談したのが、墓じまいの始まりでした。倒れていなかったら、あの時、住職に会っていなかったら、きっとここまで動けなかったと思います。
不運が続いた時期
甥が亡くなり、自分が脳出血で倒れ、仏壇の魂抜きの話をしていたちょうどその時に、姪がコロナに感染、そして自分も感染して寝込んでしまいました。「当時は不運が重なり、『何かに祟られているのでは』と思ってしまうほど追い詰められていました。
それでも前に進むしかありませんでした。
実際に行った墓じまいの流れ
1. 合葬先を決めて見積もりを取る
義父の両親が眠るお寺に合葬墓があることを確認し、そこに義父も一緒に入れてもらう形で進めることにしました。まず何にどれくらいかかるのかを明確にするために、見積もりを先に出してもらいました。費用の全体像を把握してから動いたことで、後から慌てることがありませんでした。
2. 義父の妹夫婦への連絡・許可確認
義父は3人兄弟でした。姉はすでに他界。妹さんは脳梗塞で施設に入所中のため、連絡を取れたのは妹の旦那さんだけでした。
お墓の使用料はずっと私たちが払い続けていました。もし合意が得られなければ、今後のお墓の管理方法や使用料について改めて相談する必要があると考えていました。
住職さんには正直に話していました。「払えるうちは払いますが、いつまで続けられるかわかりません」と。住職さんも「無理はしないように」と言ってくださいました。
それでも本音は、費用のことより合意がほしかった。連絡のつかない日々が続いてハガキを送ったところ、読んでくれたようで電話がかかってきました。「費用はご負担いただかなくて結構です」と伝え、数日後にOKの返事をもらえました。
複雑な家族状況でも、誠実に伝えれば合意は得られる。そう感じた経験でした。墓じまいの記事を読むと「親族の合意が一番大変」と書かれているものが多いですが、本当にそうだと実感しました。
3. 住職と連絡・メールでやりとり
許可が取れてから住職に連絡を取り、その後はメールで詳細をやりとりしました。日程や手順など、細かい確認はメールの方がお互い記録に残るため助かりました。
4. 四十九日に遺骨を取り出し、合葬
四十九日の法要に合わせて、義父の両親の遺骨を取り出し、義父の遺骨と一緒に合葬しました。両親と一緒になれたことに、ほっとしました。義父本人が希望していたことでもあったので。
5. 墓石屋と金額確定・墓石撤去
住職から墓石屋を紹介してもらいました。その場で話し合い、金額を決めました。あとは電話での確認だけで進めることができました。住職からの紹介は信頼という点で安心感がありました。
実際にかかった費用(私のケース)
- 墓石解体・撤去+彫刻:約27.5万円
- 永代供養料(1霊):約10万円
- お布施:約12万円
- 納骨法要:約2万円
- 花・供物・位牌など:約1.5万円
合計:約53万円

費用で後悔しやすいポイント:追加費用の確認不足・離檀料の認識違い・業者ごとの価格差
新盆にかかった費用
塔婆・供花・供物などで約1.2万円でした。墓じまい費用とは別に考えておく必要があります。

費用負担の内訳
義父の年金残金を主に充当し、親族からの支援(5万円)もいただきました。不足分はこちらで負担しました。費用と負担割合を事前に提示したことで、親族の同意が得られました。
終わってみて
妹とも話しましたが「やってよかったね」とお互い思っています。肩の荷が降りた感じです。
今年は甥と妹と私の3人でお墓参りに行くことができました。帰りには偕楽園に立ち寄って梅を見て、3人で食事もしてきました。
梅の花を見ながら、しみじみ思いました。昔の人はこうやって、お墓参りをみんなで集まる機会にしていたのだろうと。高齢化が進み、遠いと行くことすら困難になってくる時代です。それでも3人で一緒に行けたことが、何より嬉しかったです。
やってよかった。あの時住職に相談してよかった。
トラブル回避のポイント
- 費用は必ず先に見積もりで確認する
- 親族への説明は「理由・費用・今後の供養」の順で行う
- 連絡が取れない親族にはハガキが有効
- 墓石屋は住職や霊園から紹介してもらう方法もあります。
迷ったときの判断基準
墓じまいを進めるか迷ったときは、次の視点で考えると判断しやすくなります。
- 将来、お墓を守る人がいるか
- 物理的に通える距離か
- 管理費の負担が続けられるか
- 家族が納得できる形か
「今どうしたいか」だけでなく「10年後も続けられるか」で判断することが重要です。
よくある質問
改葬許可は必須ですか?
改葬を行う場合は、墓地・埋葬等に関する法律に基づき、市区町村長の改葬許可が必要です。
詳しい手続きは自治体へ確認してください。
離檀料は必ず支払うものですか?
法的な定額はなく、寺院との話し合いになります。
期間はどのくらいかかりますか?
合意形成を含めると数か月程度が一般的です。
まとめ
墓じまいは、親族の合意・費用の見える化・信頼できる寺院や業者との連携の3点を丁寧に進めることで、大きなトラブルを避けられます。
倒れたことがきっかけでした。でもあの経験がなければ、住職に会うこともなく、義父を両親のそばに連れていくこともできなかったかもしれない。
「やってよかった」その一言に、5年間の色々が詰まっています。
※この記事は筆者自身の墓じまいの体験をもとにまとめています。墓地の使用規則や必要な手続き、費用は寺院・霊園・自治体によって異なるため、実際に進める際は事前に確認してください。
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▶︎墓じまいに必要な改葬許可申請の詳細は、厚生労働省「墓地・埋葬等に関する法律」でも確認できます。

