「自分が亡くなったら、財産は誰のものになるのか」
60代、独身の私が、この問いに向き合ったのはつい最近のことです。
介護・終活についてブログで発信してきた私ですが、実は自分自身の相続については深く考えたことがありませんでした。子供がいないから「なんとなく兄弟にいくだろう」と思っていたのです。
でも、改めて考えてみると、自分でも驚くほど「知らないこと」が多かった。
この記事では、子供のいない独身者の相続について、私自身が調べて気づいたことをまとめます。
※この記事は筆者自身の体験と、民法などの一般的な制度をもとにまとめています。相続関係は家族構成や遺言書の有無などによって結論が異なる場合があります。実際の手続きは法務局・公証役場・司法書士・弁護士などの専門家へご確認ください。
子供のいない独身者が亡くなったら、誰が相続人になるか
法律上の相続順位はこのように定められています。
- 第1順位:子ども(子どもが先に亡くなっている場合は孫など)
- 第2順位:直系尊属(父母・祖父母など)
- 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)
配偶者がいる場合は、配偶者は常に相続人になります。私のように配偶者も子どももいない場合は、
まず父母や祖父母などの直系尊属が相続人になります。
直系尊属が全員亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。
私のケース:母や実父が存命の場合
現在、私には2人の兄弟(兄と妹)がいます。母は存命で、私と一緒に暮らしています。
もし今の私が亡くなった場合、父母などの直系尊属が相続人になります。
母だけが存命であれば、母が相続人になりますが、離婚した実父も存命であれば、実父も相続人になる可能性があります。兄や妹は、父母などの直系尊属が存命である間は相続人になりません。
父母などの直系尊属が亡くなった後は
母と実父だけでなく、祖父母などを含む直系尊属が全員亡くなっており、その後に私が亡くなった場合は、兄弟姉妹が相続人になります。
兄と妹だけが相続人であれば、法定相続分は原則としてそれぞれ2分の1です。ただし、父または母の一方だけが同じ兄弟姉妹がほかにいる場合は、相続人の人数や関係によって割合が変わります。
しかし・・・ここで私の頭に引っかかっていたことがありました。
腹違いの兄弟も相続人になる可能性がある
私の両親は幼い頃に離婚し、それ以来一度も実父とは会ったことがありません。
そんな実父に、別の女性との間に「腹違いの兄弟」がいるというのも、風の噂で耳にしたことがある程度です。連絡先もわからず、確かめる術もありません。
「まさか、その人たちにも財産がいくの?」
私が調べたところ、父または母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)も、一定の場合には法律上の相続人になります。
半血兄弟姉妹の法定相続分は、父母の両方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1とされています。ただし、実際の割合は相続人の人数や家族関係によって変わるため、戸籍を確認したうえで専門家に相談する必要があります。
面識もなく、存在すら確かではない人に財産がいく可能性があるとは、考えたことすらありませんでした。
遺言書がないとどうなるか
遺言書がない場合は、法定相続分を一つの基準として、相続人全員で遺産分割協議を行います。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる分け方もできます。
ただし、状況によっては、面識のない相続人を戸籍から確認し、その人を含めて手続きを進める必要があります。
また、私には兄と妹がいますが、母の介護はほぼ私と妹で担ってきました。
兄夫婦はほとんど関わらないまま現在に至ります。
兄は今、母名義の土地に建つ家に住んでいます。私と妹は、母が亡くなった後も兄がそのまま住み続けられる形にしたいと考えています。
ただし、生前に家族で「土地は兄が受け取る」と話し合っただけで、将来の相続方法が法的に確定するわけではありません。母の遺言書や、相続開始後の遺産分割協議など、適切な方法を検討する必要があります。
ただ、私自身がコツコツ働いて残してきたお金は、介護を一緒に頑張ってくれた妹に渡したい。その気持ちを叶えるためにも、遺言書が必要だと気づきました。
財産の多い少ないにかかわらず、遺言書を考える意味
「自分には大した財産なんてない」そう思っている方も多いと思います。私もそうでした。
でも少し考えてみてください。老後まで一生懸命働いて残ったお金、大切にしてきた持ち家。
たとえ少額でも、自分にとってはかけがえのないものです。
財産の多い少ないより大切なのは「誰に渡したいか」という気持ちではないでしょうか。
顔も見たことがない、話したこともない腹違いの兄弟を憎んでいるわけではありません。
ただ、親身になって世話をしてくれた人、何かあったときに動いてくれると約束してくれた人に
自分が一生懸命働いて残したわずかなお金を、使ってほしいのです。
遺言書は、財産が多い人だけが準備するものではありません。財産額にかかわらず、「誰に何を残したいか」という希望がある場合は、遺言書を作成する意味があると感じました。
親の介護を主に担った人と、ほとんど関わらなかった兄弟姉妹との間で、相続に対する気持ちの違いが生まれることもあります。
介護に費やした時間や負担が、そのまま法定相続分に反映されるとは限りません。そのため、親本人が元気なうちに、遺言書や財産の分け方について家族で話し合っておくことも大切だと感じます。
兄弟姉妹には「遺留分」がない
ここで大切なことを知りました。
「遺留分」とは、たとえ遺言書があっても、一定の相続人に認められている最低限の取り分のことです。配偶者や子ども、直系尊属には遺留分がありますが、兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、父母など遺留分を持つ相続人がいない場合は、適切な形式の遺言書を作成しておくことで、自分の希望どおりに財産を残せる可能性があります。
ただし、亡くなった時点の家族構成や遺言書の内容によって結論は異なるため、作成前に司法書士や弁護士などの専門家へ相談すると安心です。
実父が存命の場合に注意したいこと
私の両親は幼い頃に離婚していますが、離婚しても実父と子供との法律上の親子関係はなくなりません。
そのため、私が亡くなった時点で実父が存命であれば、母とともに法定相続人になる可能性があります。また、親である直系尊属には遺留分が認められる場合があります。
2022年に私は脳出血で倒れました。あのとき遺言書を準備しないまま亡くなっていたら、どのような相続関係になっていたのだろうと考えるようになりました。
遺留分侵害額請求には、原則として「相続の開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年」、または「相続開始から10年」という期間があります。ただし、具体的な起算点や手続きは個別の事情によって異なるため、専門家への確認が必要です。
私の場合は、実父や父方の家族関係を正確に把握できていません。だからこそ、まず戸籍で相続関係を確認し、自分の希望をどのような形で残すか考える必要があると感じました。

遺言書を書く前に整理しておくこと
- 今持っている財産の種類と金額(預貯金・不動産・株など)
- 誰に何を渡したいか(具体的に)
- 財産を残したい人と、その理由
- 遺言の執行を誰に頼むか(信頼できる人を決めておく)
私自身、「妹に現金」「甥に株」「持ち家は姪へ」など、財産ごとに誰へ残したいかという希望があります。こうした希望は、思っているだけでは相続に当然反映されるとは限りません。
自分の意思を適切な形で残しておくことが大切です。
よくある質問
Q. 遺言書は自分で書けますか?
自筆証書遺言は自分で作成できます。原則として、遺言書の本文・作成日付・氏名を本人が自書し、押印する必要があります。
ただし、添付する財産目録については、パソコンで作成したものや通帳のコピーなどを使用することもできます。その場合は、財産目録の各ページに署名・押印が必要です。形式に不備があると無効になる可能性があるため、法務省の案内を確認するか、専門家へ相談すると安心です。
より確実な作成方法を希望する場合は、公証人が関与して作成する公正証書遺言も選択肢になります。手数料は財産額や財産を受け取る人数などによって異なります。
詳しい作成方法や保管制度については、法務省の「自筆証書遺言書保管制度」をご確認ください。
法務省|自筆証書遺言書保管制度について
Q. 遺言執行者は家族(兄弟・甥・姪)でもなれますか?
なれます。未成年者と破産者を除き、家族を遺言執行者に指定することもできます。ただし、不動産や多数の相続人が関係する場合など、手続きが複雑になる可能性があるときは、弁護士や司法書士などへの依頼も選択肢になります。
Q. 遺言書があれば、半血兄弟姉妹(腹違いの兄弟)に財産を渡さないようにできますか?
兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、父母など遺留分を持つ相続人がいない場合は、適切な形式の遺言書によって、特定の人に財産を残す意思を反映できる可能性があります。
ただし、亡くなった時点の相続人や遺言書の内容によって異なるため、専門家への確認が必要です。
Q. 後から遺留分を請求されたらどうなりますか?
遺留分を持つ相続人から遺留分侵害額請求を受けた場合、遺贈や贈与を受けた人が、侵害額に相当する金銭の支払いを求められることがあります。
請求権は原則として、相続の開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年、または相続開始から10年で消滅します。ただし、具体的な起算点や請求額は個別の事情によって異なるため、弁護士などの専門家へご確認ください。
Q. 子どもがいない独身者は遺言書を書いた方がいいですか?
家族構成によって異なりますが、自分の希望どおりに財産を残したい場合は、遺言書を準備しておくことで相続手続きが円滑になることがあります。不安がある場合は司法書士や弁護士などの専門家へ相談すると安心です。
まとめ
- 配偶者も子どももいない場合は、父母・祖父母などの直系尊属が優先して相続人になる
- 直系尊属が全員亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になる
- 父または母の一方だけが同じ半血兄弟姉妹も、一定の場合には相続人になる
- 遺言書がない場合、自分の希望が当然に相続へ反映されるとは限らない
- 兄弟姉妹には遺留分がないが、父母などの直系尊属には遺留分が認められる場合がある
- 両親が離婚していても、実父と子どもの法律上の親子関係は原則としてなくならない
- 相続関係を戸籍で確認し、遺言書の作成方法を専門家へ相談することも選択肢になる
相続制度は知らないままでいると、自分の希望どおりにならないことがあります。
だからこそ、元気なうちに制度を知り、準備しておくことが大切だと感じました。
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