エンディングノートを書いたら、今の生き方が変わった話 書き方と項目を実体験をもとに解説

終活

エンディングノートを書こうと思ったのは、脳出血で倒れたことがきっかけでした。

倒れた瞬間に頭をよぎったのは「死んだら誰も何もわからない」という焦りでした。口座、保険、不動産、株。何一つ整理できていなかった。それが怖かった。

まずレポート用紙に箇条書きから始めた

退院後、最初からエンディングノートを買ったわけではありません。まずレポート用紙に箇条書きで、優先順位をつけながら書き始めました。

一番最初に取りかかったのはお金のことでした。銀行口座、生命保険、医療保険。これが一番急ぎだと感じたからです。

私が銀行口座を作った頃は、近所にATMがたくさんありました。でも最近はめっきり減っています。倒れた後しばらくは、駅まで行かないとお金がおろせない状態でした。バスに乗って駅に行くだけで一苦労だった頃のことは、今でもよく覚えています。

一つやり終えたら消して、また新しいことを追加する。その繰り返しでした。

郵便局でエンディングノートを見つけた

そんなある日、郵便局でエンディングノートが売っているのを見つけました。「これだ」と思ってすぐ購入し、少しずつ書き進めました。

ところが2〜3年経つと、書いた内容を変えたくなってきました。気持ちが変わったこと、状況が変わったこと、新しく伝えておきたいことが出てきたのです。

今は100円ノートに少しずつ書いています。まだ完成はしていません。でもそれでいいと思っています。エンディングノートは「完成させるもの」ではなく「更新し続けるもの」だからです。

資産を整理したら、人生が動き出した

お金のことを整理していくうちに、思わぬことに気づきました。資産状況を整理する中で、住宅ローンを完済した後に、持ち家を賃貸へ出す選択肢を考えるようになりました。

ローンを設定するとき、私は「返せなくなったら困る」という不安を最小限にするよう意識していました。それが後になって生きてきました。

実際にローンを完済できたのは、妹と甥の協力があったからです。当時、私は株を少し持っていました。株価が上がったタイミングで売ればローンを返せる・・・
そう考えていたのですが、まずは手元の資金が必要でした。「借りる」と決めたとき、きちんと借用書を作りました。身内だからこそ、あいまいにしたくなかったからです。

自分で調べながら借用書を作り、借入額や返済方法を書面に残しました。その後、株が売れたタイミングで妹と甥にきちんと返済することができました。

エンディングノートで資産状況を整理していたことが、こういう判断のスピードにもつながったと思っています。

家を賃貸に出すと毎月家賃収入が入るようになり、「仕事ができない=収入がない」という不安が少しずつ薄れていきました。自分の資産状況を把握するだけで、こんなにも気持ちが変わるのかと驚きました。

※住宅ローンがある物件を賃貸へ出せるかどうかは、金融機関との契約内容などによって異なります。事前に金融機関や専門家へ確認する必要があります。

書いているうちに、忘れていた夢を思い出した

エンディングノートには「これからやりたいこと」を書く欄があります。最初はそのページを見て「やりたいことなんてあったかな」と思いました。

でも書き始めると、若い頃に忘れていた夢が次々と出てきました。

販売の仕事をしていた頃、休みを取って海外でダイビングをするのが楽しみでした。モルジブにも行ったことがあります。当時は予算の関係で安い宿でしたが、いつか水上コテージのリゾートに泊まってみたいという夢がありました。

バブル崩壊、転職、体調不良・・・
気づけばその夢はどこかに消えていました。エンディングノートを書きながら、「海外は難しくても、国内ならどこかに行けるかもしれない」と思い始めました。

鎌倉に行くことができた

ずっと行きたかった鎌倉に、2026年6月2日に行くことができました。

母が週に何日かデイサービスに行くようになり、その時間を使いました。
9時ごろ母をデイに送り出して出発し、母が帰宅する16時前には家に戻る。
たった数時間でしたが、明月院の紫陽花、長谷寺、建長寺
行きたかった場所を回ることができました。

今は少し体調がすぐれない時期が続いています。だからこそ「あのとき行っておいてよかった」と心から思っています。「行ける体調のときに行く」
介護をしながらでも、自分の時間を作ることの大切さを改めて感じました。

次の夢はイタンキ岬

次の夢は、北海道のイタンキ岬です。「鳴き砂」で知られる場所で、いつか自分の目で景色を見てみたいと思っています。

SNSでフォローしているゴミ拾いの方が、時々そこからの朝日の景色をポストしてくれます。
その写真がずっと頭に残っていて、いつか行ってみたいと思っています(できればそこでフォロワーさんとゴミ拾いをして、朝ラーメンを食べたい)。

正直、夢で終わりそうな気もしています。でも「行きたい」という気持ちを持っていること自体が、今を生きる力になっていると感じています。

エンディングノートに書いておくといい項目

① 財産・お金のこと(最優先)

  • 銀行口座(銀行名・支店・種別)
  • 生命保険・医療保険(証券番号)
  • 不動産・ローンの状況
  • 株・投資信託など
  • クレジットカード・サブスクリプション一覧

銀行口座の情報を残すこと自体は役立ちますが、暗証番号やパスワードまで同じノートに書くのは危険です。


※銀行口座の暗証番号やインターネットバンキングのパスワードは、エンディングノートに直接書かず、口座情報とは別の安全な方法で管理してください。

② 医療・介護の希望

  • かかりつけ医・服用中の薬
  • 延命治療についての考え
  • 介護が必要になったときの希望(自宅・施設など)

延命治療について 私個人の考え

エンディングノートの「医療・介護の希望」欄に、延命治療についての考えを書きました。

あくまでも私個人の考えですが、自分で口からものを食べられなくなったとき、それが私の寿命だと思っています。

これは看護師だからというより、一人の人間としての考えです。ただし、この考えには「条件」があります。私には子どもがいないことが、大きく影響していると感じています。

子どもがいれば、「どんな形でもいいから生きていてほしい」と思うかもしれません。まして子どもがまだ小さければ、なおさらです。延命治療の考え方は、年齢・家族の状況・それぞれの価値観によって違います。正解はありません。

ただ、看護師として最期に痰が絡んでいる患者さんへの吸引をするたびに、胸が痛みました。「最後くらい、安らかに」と、いつも思っていました。それが今の私の考えの根底にあります。

元気なうちに自分の考えをノートに残し、家族やかかりつけ医とも話し合っておくことで、いざというときに家族が判断する際の大切な手がかりになります。



※エンディングノートは、自分の希望や情報を家族へ伝えるために役立ちますが、一般的に遺言書のような法的効力があるものではありません。また、医療や介護の希望については、本人の状態や医療上の判断によって対応が異なることがあります。家族や医療・介護関係者と繰り返し話し合っておくことが大切です。

③ 葬儀・お墓について

  • 葬儀の希望(家族葬・直葬・一般葬など)
  • お墓・散骨・手元供養の希望
  • 戒名の要不要

④ 家族・大切な人へのメッセージ

  • 感謝の言葉
  • 伝えておきたいこと
  • ペットの世話をお願いしたい人

⑤ これからやりたいこと(一番大事かもしれない)

  • 行きたい場所
  • 食べたいもの
  • 会いたい人
  • 挑戦してみたいこと

この項目を書くことで「まだやりたいことがある」と気づけます。それがエンディングノートの一番の力だと私は思っています。

どんなノートを使えばいいか

最初は市販のエンディングノートでも、100円ノートでも、レポート用紙でも構いません。私は郵便局で買ったエンディングノートから始めて、今は100円ノートを使っています。

大切なのは「完璧に書くこと」ではなく「書き続けること」です。気持ちや状況は変わります。2〜3年経てば書き直したくなるのは自然なことです。

保管場所と家族への共有

書いたら、まず家族に「大事な書類があること」と「保管場所」を伝えておきましょう。すべての内容を見せる必要はありませんが、緊急時に必要な情報へたどり着けるようにしておくことが大切です。

まとめ

エンディングノートは、死の準備ではありません。これからどう生きたいかを気づかせてくれるものです。

書き始めると、忘れていた夢が出てきます。やりたいことが見えてきます。資産が整理されると、気持ちが軽くなります。

完璧に書こうとしなくていいのです。レポート用紙でも、100円ノートでも。まず一行、書いてみてください。

関連記事


※本記事は公開日時点の情報をもとに作成しています。制度・法律・サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は各自治体・厚生労働省などの公的機関でご確認ください。

※この記事は私さくらこの実体験・個人的な見解をもとにした情報です。介護・医療・法律・税務・相続などに関する判断は、必ず専門家(医師・弁護士・税理士・ケアマネジャー等)にご相談ください。本サイトの情報を参考にされた場合の結果について、運営者は責任を負いかねます。

さくらこ

はじめまして。
「さくらこ」です。
元看護師。関東在住で
高齢の母と暮らしながら実母・義父の介護、看取り、相続手続きを経験。
自身も脳出血で倒れ、後遺症と付き合いながら暮らしています。
介護・終活・葬儀について、現場で得た知識と実体験をもとに
発信しています。

さくらこをフォローする
終活