「自分の葬儀を考えるなんて、縁起でもない」——以前の私は、そう思っていました。
けれど、身近な人の死と、自分自身が生死を彷徨う経験を通して、葬儀のことは「亡くなった後ではなく、生きている今だからこそ考えられること」だと感じるようになりました。
この記事では、私が自分の葬儀を考えるようになった理由・葬儀の形の違い・費用が高くなりやすい理由・後悔しないための準備をまとめてお伝えします。
なぜ自分の葬儀を考えるようになったのか
甥が若くして突然亡くなり、その約1年後に私自身が脳出血を起こしました。この2つの出来事は、「準備する時間は与えられないことがある」という現実を強く実感させるものでした。
入院中も退院後も、これからの生活やお金のこと、そして万が一のときのことが頭から離れませんでした。体調が悪くなってからでは、判断する余裕がなくなります。「元気なときにしか考えられないことがある」と、強く感じました。
また、身近な人の看取りや葬儀を経験する中で、残された人がどれほど迷い、悩むのかも実感しました。だからこそ、自分の考えだけでも残しておきたいと思うようになりました。
葬儀は「気持ち」と「現実」が同時に押し寄せる
人は、大切な人を亡くした直後、冷静な判断ができる状態ではありません。時間に追われ、気持ちの整理がつかず、分からないことが多いまま、葬儀の形式・費用・日程・手続きについて次々と決断を迫られます。
その状況を、残される人に一人で背負わせたくない。そう思うようになりました。
すべてを細かく決める必要はありません。「大きな式は望まない」「家族だけで静かに送りたい」「費用はこのくらいまで」——考え方の方向性があるだけで、残された人の判断は大きく変わります。
葬儀の形を知っておく 一般葬・家族葬・直葬の違い
葬儀の形は年々変化しており、大きく3つに分かれます。
| 一般葬 | 家族葬 | 直葬 | |
|---|---|---|---|
| 参列者 | 50〜100人以上 | 10〜30人程度 | 家族のみ |
| 式の内容 | 通夜・告別式・火葬 | 通夜・告別式・火葬 | 火葬のみ |
| 費用目安 | 100〜200万円前後 | 50〜120万円前後 | 15〜30万円前後 |
| 特徴 | 社会的な儀礼を重視 | 身内中心で静かに | 負担を最小限に |
家族葬とは
家族葬は、家族や近しい人だけで行う小規模な葬儀です。通夜・告別式・火葬を行うため内容は一般葬とほぼ同じで、違いは「規模」と「参列者の範囲」です。参列者が多い葬儀では挨拶対応・気遣い・進行への配慮などが必要になりますが、家族葬ではこれらが減るため、故人との時間に集中しやすくなります。
直葬とは
直葬は通夜や告別式を行わず、火葬のみで見送る形式です。費用や負担を最小限にしたい場合に選ばれますが、お別れの時間や気持ちの整理を重視する場合は家族葬を選ぶ方も多いです。
後悔しやすいポイント
- 呼ばなかった人との関係:後から「知らせてほしかった」と言われるケースがある
- 費用が思ったより下がらない:家族葬=必ず安い、ではない
- 判断する余裕がない:冷静に決められない状況で決めることになる
葬儀費用が高くなりやすい理由
① 比較する余裕がほとんどない
突然の別れ・時間に追われる状況・心身の疲労の中で、複数の業者を比較し内容を検討するのは非常に難しいことです。その結果、最初に提示された内容をそのまま受け入れてしまうことが多くなります。
② 基本プランに含まれていない費用が多い
安置日数が延びた場合の追加費用・ドライアイスの追加・搬送距離による加算・控室や火葬場での費用など、最初の見積もりに含まれていない項目が後から積み重なっていきます。
③ 断りにくいオプションが多い
「多くの方が選ばれています」「最低限としておすすめです」といった言葉をかけられることがあります。悲しみの中では「断るのは申し訳ない」と感じてしまい、結果的に費用が増えていきます。
④ 費用の説明が分かりにくい
葬儀費用の説明には専門用語や聞き慣れない項目が多く、その場で質問する余裕もないため、内容を十分に理解しないまま受け入れてしまうケースが少なくありません。
費用を抑えるための工夫
- 相見積もりを取る(事前に複数の業者を比較する)
- 公営斎場を使う(民間より費用を抑えやすい)
- 参列人数を絞る(飲食・返礼品のコストが下がる)
- 会食を省略する
- 衣装や棺に入れる物は必須ではない(白装束ではなく私服を選ぶケースも増えている)
費用が高い=悪いということではありません。大切なのは、納得して選んだかどうか・理解して決めたかどうかです。
義父のとき、小さな骨壷を選びました。持ち運びやすく費用も抑えられ、現実的な選択でした。状況に合わせた選択の大切さを感じた経験です。
後悔しないための準備チェックリスト
棺桶の選択で妹が悩んでいたこと
葬儀費用の話をするとき、私がいつも思い出すのは妹のことです。
甥はスポーツをしていて、身長がかなりありました。スタンダードの棺桶では、足を少し曲げなければ収まらない状態だったそうです。葬儀社の方は、より大きなサイズの棺桶をすすめてきました。強い売り込みではなかったようですが、当然スタンダードよりも費用はかなり高くなります。
妹はスタンダードの棺桶を選びました。
葬儀が終わってからもしばらく、妹はそのことを気にしていました。「あれでよかったのだろうか」と。後悔というほどではないけれど、ずっと心の片隅に残っていたようです。
私は妹にこう伝えました。
「妹らしくて、甥もお母さんらしいって天国で笑っているよ。」
葬儀の選択に正解はありません。あのとき妹が下した判断は、妹なりの精一杯の判断でした。それで十分だと、私は思っています。
費用を抑えることが「冷たい」のでも、高いものを選ぶことが「愛情深い」のでもない。大切なのは、そのときの状況の中で、自分なりに考えて選んだかどうかだと思います。
- 葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬)の方向性を考える
- 費用の上限を決める
- 呼ぶ人の範囲を考える
- 連絡してほしい人をリストにしておく
- 葬儀後の供養についての考えを持つ
- 通帳・保険・書類の保管場所を共有しておく
- 家族に考えを伝えておく
すべてを完璧に整える必要はありません。「方向性が分かること」が一番重要です。これらは終活ノートに書き残しておくと、家族がいざというときに迷わずに済みます。
自分のためではなく「残される人のため」
自分の葬儀を考えることは、自分のためというよりも、残される人のための準備です。迷う時間を減らす・悩み続ける負担を減らす・判断の基準を残す——それは特別なことではなく、今できる現実的な思いやりだと思います。
自分の葬儀を考えることは、決して不吉なことではありません。元気な今だからこそ、無理のない範囲で少しずつ考えていくことが大切だと感じています。
まとめ
- 葬儀は突然始まり、短時間で多くの判断を求められる
- 一般葬・家族葬・直葬の違いと費用の目安を知っておく
- 費用が高くなりやすい理由は「比較できない状況」にある
- 費用を抑えるには事前の比較・公営斎場・人数の絞り込みが有効
- 準備は「すべて決めること」ではなく「方向性を持つこと」
元気なうちに少しでも考えておくことが、残された人への最大の思いやりになります。
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