親の介護が始まる前にやっておくべき準備 同居・別居・実家じまいまで実体験をもとに解説

介護

親の介護は、ある日突然始まることがあります。転倒、入院、認知症の進行――きっかけは様々ですが、「何も準備していなかった」という状態で始まると、慌てるのは当然のことです。

義父の介護が始まったとき、私もそうでした。浴室で転倒し、その後に在宅酸素療法が始まり、生活のサポートが一気に増えました。通院一つとっても、診察・会計・薬の受け取りまで対応するとほぼ1日がかり。「こんなに大変だとは思っていなかった」というのが正直なところでした。

この記事では、介護が始まる前にやっておくべき準備を整理します。ただ、一つ大切な視点をお伝えしたいのです。

「同居している親」と「別居している親(特に持ち家)」では、準備すべき内容がかなり違います。

この違いを踏まえながら、具体的に何から始めればよいかをお伝えします。

まず確認 同居か別居かで準備内容が変わる

介護の準備を考えるとき、「親と同居しているか」「別居しているか」によって、直面する問題が変わってきます。

同居の場合別居(実家あり)の場合
日常サポートすぐ気づける・対応しやすい頻繁に通う必要がある
緊急対応比較的早い駆けつけるまでに時間がかかる
住まいの問題バリアフリー化などで対応しやすい実家の改修・維持・処分の判断が必要
特有の課題介護者の生活・仕事との両立実家じまいの問題が発生することも

特に別居で親が持ち家に住んでいる場合、介護が進むにつれて「その家をどうするか」という問題が出てくることがあります。

まず知っておきたい「介護が始まる前の基本の準備」

健康状態の把握、介護保険制度の理解、家族の役割分担、住まいの安全対策、お金と手続きの整理——この5つは、介護が始まる前に誰もが押さえておきたい基本の準備です。

それぞれの具体的な進め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶︎ 親の介護の始め方まとめ 最初にやること・相談先・よくある失敗を実体験で解説

ここでは、それを踏まえた上で「同居か別居かによって、実際に何が変わるのか」を詳しく見ていきます。

別居・持ち家の場合に考えておきたい「実家じまい」の問題

親が別居で持ち家に住んでいる場合、施設入所や同居介護をきっかけに、「実家をどうするか」を考える必要が出てくることがあります。

施設入所や同居介護が始まると、誰も住まなくなった実家は「空き家」になります。空き家になった家は、維持費がかかり続ける一方で、放置すると劣化も進みます。また、相続のことを考えると、早めに方針を決めておかないと、後で家族間の話し合いが複雑になることもあります。

実家じまいで考えるべき選択肢

選択肢メリットデメリット・注意点
売却する維持費がなくなる・介護費用に充てられる思い入れのある家を手放す決断が必要
賃貸に出す家を残しながら収入を得られる管理の手間・空室リスクがある
そのまま維持するいつでも戻れる選択肢を残せる固定資産税・維持費・劣化リスクがある
リフォームして同居親を身近で見守れる工事費用・同居の生活調整が必要

どれが正解ということはありません。ただ、「介護が始まってから慌てて決める」のと「事前に家族で方針を話し合っておく」のとでは、精神的な負担が大きく違います。

実家じまいを考える前に確認すること

  • 名義は誰か(親本人・配偶者・共有名義など)
  • ローンは残っているか
  • 固定資産税はいくらかかっているか
  • 相続人は誰になるか(兄弟姉妹がいる場合)
  • 本人はどうしたいと思っているか

特に名義の確認は重要です。親が認知症になってしまうと、本人の意思確認が難しくなり、不動産の売却や賃貸の手続きが一気に複雑になります。元気なうちに話し合える環境を作っておくことが、後悔しない実家じまいの第一歩です。

すぐ使えるチェックリスト

別居・持ち家の場合の追加チェック

  • □ 実家の名義・ローンの状況を確認した
  • □ 固定資産税の金額を把握している
  • □ 実家をどうするかについて家族で話し合った
  • □ 本人の「家に対する気持ち」を聞いた
  • □ 相続の観点から専門家への相談を検討した

よくある質問

Q. いつから準備を始めればいいですか?

介護が必要になる時期には個人差があります。

元気なうちから少しずつ話し合いを始めておくと、いざというとき慌てずに対応しやすくなります。

Q. 親が話し合いを嫌がる場合は?

「介護の話」「お金の話」と切り出すと嫌がられることがあります。「もし何かあったときのために確認しておきたい」「自分たちも将来のことを考えている」というように、親を特別視しない伝え方をすると受け入れられやすいです。

Q. 実家じまいは必ず必要ですか?

必ずしも必要なわけではありません。ただ、介護が本格化したときに「判断しなければならない状況」が突然やってきます。事前に選択肢を知っておくだけでも、いざというときの心の準備が違います。

Q. 仕事をしながら介護はできますか?

私自身、仕事と介護を両立しようとする中で脳出血を経験しました。介護休業制度や訪問介護、デイサービスなどを早めに活用し、一人で抱え込まないことが大切です。

Q. 親が認知症になってしまうと、実家の処分はできなくなりますか?

親の判断能力が低下すると、本人名義の不動産を売却したり、賃貸契約を結んだりする手続きが難しくなることがあります。成年後見制度などを利用して手続きを進める方法もありますが、必要な手続きや費用は状況によって異なります。元気なうちに本人の希望を確認し、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家へ相談しておくと安心です。

家族信託などを検討する方法もありますが、契約内容によって対応できる範囲が異なるため、専門家への相談が必要です。

Q. 兄弟がいるのに協力してもらえない場合はどうすればいいですか?

介護の負担は「近くに住んでいる人」に集中しやすく、これは多くの家庭で起きている問題です。感情的になる前に、役割・費用・頻度を具体的に提案する形で話し合いの場を設けることが有効です。それでも難しい場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、第三者として調整に入ってもらえることもあります。

Q. 介護費用はどのくらいかかりますか?

介護費用は在宅介護か施設介護か、また介護度や利用するサービスによって大きく異なります。

介護保険サービスには自己負担がありますが、それ以外にも食費や日用品費、住宅改修費などが必要になる場合があります。

親の年金や貯蓄、利用できる制度も含めて、早めに費用の見通しを立てておくことが大切です。

参考資料

厚生労働省「高齢者介護」

厚生労働省「介護サービス情報の公表制度」

介護サービス情報公表システム


※本記事は公開日時点の情報をもとに作成しています。制度・法律・サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は各自治体・厚生労働省などの公的機関でご確認ください。

※この記事は私さくらこの実体験・個人的な見解をもとにした情報です。介護・医療・法律・税務・相続などに関する判断は、必ず専門家(医師・弁護士・税理士・ケアマネジャー等)にご相談ください。本サイトの情報を参考にされた場合の結果について、運営者は責任を負いかねます。

さくらこ

はじめまして。
「さくらこ」です。
元看護師。関東在住で
高齢の母と暮らしながら実母・義父の介護、看取り、相続手続きを経験。
自身も脳出血で倒れ、後遺症と付き合いながら暮らしています。
介護・終活・葬儀について、現場で得た知識と実体験をもとに
発信しています。

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