・最近、親が家の中でつまずいてヒヤッとしたことがある
• 親に運動を勧めたいけど、嫌がられて続かない
• 転倒が心配で、家のどこをどう対策すればいいかわからない
高齢者が家の中で転倒を繰り返すと、骨折や寝たきりにつながるリスクが高まります。
安全なはずの自宅が、実は最も危険な場所になっているかもしれません。
この記事では、転倒予防の具体策を分かりやすく紹介します。
家の中の危険ポイントを把握し、今日からできる運動習慣と住まいの工夫をまとめました。
この記事を読んで、高齢の親が「安全に、安心して」自宅で暮らしてもらうためのヒントになり
介護する家族の不安や負担も軽減できれば幸いです。
転倒予防のカギは、住環境の見直しと毎日のちょっとした運動の積み重ねです。
高齢者が家の中で転びやすい原因
<内的要因:筋力やバランス、認知機能の低下>
高齢になると、筋肉量が減少し、バランスを取る力や反応速度も低下します。
こうした体の機能低下は、本人が意識していなくても進行しており、ちょっとした段差や振り返り動作でもバランスを崩しやすくなります。
認知機能が低下すると、自分の身体能力を過信したり、注意力が散漫になったりします。
このような状態では、無意識に危険な動きをしてしまい、転倒に繋がることがあります。
外的要因:段差・滑りやすさ・照明不足などの環境
家の中にある段差や滑りやすい床材、暗い照明なども転倒のリスク要因です。
とくに夜間のトイレ移動や、浴室などの水回りは、視界が悪く滑りやすいため、転倒事故が多く発生しています。(私の母は電気をつけないでよくトイレに行ってました💦)
また、電気コードや家具の配置も注意が必要です。
歩行の動線に障害物があると、それだけでつまずきやすくなります。
行動要因:急な動作や無理な動きによる転倒
年齢を重ねても「自分はまだ大丈夫」と思ってしまい、急に立ち上がったり、高いところに手を伸ばしたりする行動が転倒を引き起こすこともあります。
本人の行動パターンや生活スタイルを見直すことも、転倒予防には欠かせません。(私も洗濯籠を持って急に立ち上がりぎっくり腰になりました💦高齢者の圧迫骨折も少なくはありません)
高齢者が家の中で転ばないための住環境対策
<段差の解消とスロープの設置でつまずきを防ぐ>
家の中にある小さな段差でも、高齢者には大きな障害となります。
敷居や部屋の境目などの段差は、スロープや段差解消プレートを活用して平坦に整えましょう。
また、玄関や脱衣所などの床の高低差も注意が必要です。
滑り止め機能付きのスロープを取り付けると安心です。
<廊下・浴室・トイレに手すりと滑り止めを設置する>
手すりは歩行時の安定を保つために非常に有効です。
とくに廊下、階段、トイレ、浴室には必ず設置しておきたい場所です。
浴室の床には滑り止めマットを敷き、手すりと組み合わせて安全性を高めます。
手すりの高さや握りやすさも事前に確認して取り付けましょう。
(参考までに:私が脳出血した時は歩行が不安定だったためリビングのテーブルや机を手すり代わりにして動線を確保してました。)
<床に物を置かず、動線をすっきり保つ>
床に新聞、衣類、電気コードなどがあると、つまずきの原因になります。
動線上は常にスッキリさせることが基本です。
家具の配置を見直して、移動の際に身体をひねらなくて済むようにしましょう。
また、掃除や片付けは家族全体で習慣化し、整理整頓された空間を維持してください。
<夜間のトイレ移動にはフットライトが効果的>
高齢者が夜中にトイレへ行くときは、暗い廊下や寝ぼけた状態で歩くため、転倒の危険が高まります。
そのため、足元をやさしく照らすフットライトや常夜灯を設置しておきましょう。
コンセントに差すだけで自動点灯するタイプもあり、設置は簡単です。
トイレや廊下、ベッド周りなど必要な箇所を重点的に照らすと安心です。
<家具は低く安定感のあるものを選び、固定する>
高い棚や不安定な家具は、手をかけたときにぐらついて転倒を引き起こす原因になります。
家具は背が低くて重心が安定しているものを選びましょう。
必要に応じて、壁に固定する家具転倒防止具なども活用すると安全性が高まります。
ベッドの配置にも注意し、壁際や窓際に置いて転落防止ガードを設置してください。
(母はベッドから何度か転落してるので今はまだ足腰がしっかりしているのでベッドマットのみです)
高齢者の筋力低下を防ぐ簡単な運動習慣
<毎日できるつま先立ち・足踏み・足上げ体操>
下肢の筋力を維持するためには、毎日無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
つま先立ちや足踏み運動は場所を取らず、家の中で簡単に行えます。
椅子に座った状態でも足上げ運動は可能です。
1日5分からでも構いません。継続が何よりのカギです。
<椅子を使った立ち座り運動で下半身を強化>
椅子から立ち上がって座る動作を10回繰り返すだけでも、大腿筋(ももの筋肉)や臀部(お尻)の筋肉を鍛える効果があります。
ゆっくりと動作し、バランスを保ちながら行いましょう。
両手を膝に置いて支えながらでも問題ありません。
⚠️注意:初めて行う場合は年齢にもよりますがご家族が見守りして頂けると安心ですね。
無理のない範囲でお願いします
<室内でも安全にできるバランス運動>
片足立ちはバランス感覚を養う運動として知られています。
壁や椅子の背もたれを支えにしながら、10秒間ずつ左右の足で立つ練習をしてみてください。
毎日少しずつ継続することで、姿勢の安定性が高まり、つまずきにくい体へと変わっていきます。
⚠️注意:こちらも上記と同様に初めて行う場合は年齢にもよりますがご家族が見守りして頂けると安心ですね。無理のない範囲でお願いします。危険と思ったら中止してくださいね。
<運動を習慣化するためのコツと声かけの工夫>
「いきなり毎日やろう」と考えると、本人も疲れてやめてしまいがちです。
まずは週3回、1回3分からスタートするのがおすすめです。
家族が一緒に行ったり、決まった時間に声をかけることで、運動の継続率は格段に上がります。
「やったら元気になるね」とポジティブな言葉をかけることも大切です。
また痛みをなどを伴う場合は医師に相談をしてからお願いします。無理は禁物です。
家族ができる転倒予防サポートとは
<介護者が注意すべき観察ポイントと声かけ例>
「最近、歩き方がふらついてきた」「椅子から立ち上がるのに時間がかかる」など、日常生活の中で見られる変化を見逃さないようにしましょう。
声かけの例としては、「今日は一緒に足踏みしようか」「ベッドの位置、変えようか?」など、提案型のコミュニケーションが有効です。
<高齢者本人の「自信」と「自立」を守る工夫>
「危ないから全部やらないで」と言ってしまうと、本人のやる気や自立心を削いでしまうことがあります。
無理のない範囲で「自分でできること」を続けてもらうことが、筋力と自信の維持につながります。
見守りながら、できたことを積極的に褒めましょう。
<住宅改修に介護保険を使う方法と注意点>
介護認定を受けている場合、住宅改修費用の一部を介護保険で補助してもらえる制度があります。
手すりの設置、段差解消、床材の変更などが対象です。
まずは市区町村の地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、改修計画を立てましょう。
自己負担が少なく、安全な住環境を整えるチャンスです。
転倒を防いで安心して暮らすために大切なこと
<住環境と身体機能のバランスが予防の鍵>
家の中を安全に整えることは大前提ですが、それだけでは不十分です。
本人の筋力やバランス感覚を維持・強化する取り組みも欠かせません。
「環境」と「身体」の両面からの対策が、真の転倒予防につながります。
<夫婦や家族で協力して安心な暮らしをつくる>
住まいを改善し、日々の体調に目を配ることは一人では難しい場合があります。
夫婦や家族で協力しながら、安全な暮らしを支えていくことが大切です。
一緒に環境を見直し、運動も楽しみながら続けることで、無理なく転倒リスクを下げていくことができます。
まとめ
高齢者が家の中で転倒しないようにするには、住環境の整備と筋力・バランス機能の維持が不可欠です。
とくに廊下やトイレ、浴室など転倒リスクの高い場所には、手すりや滑り止めを設置することで、事故を大幅に減らせます。
また、毎日の簡単な運動を取り入れ、自分で動ける身体を保つことが、転倒予防だけでなく生活の自立にもつながります。
そのためには、家族の「声かけ」や「見守り」も非常に大切です。
「うちはまだ大丈夫」と思わずに、今日から一つずつ、できることから始めてみましょう。
環境と身体、両面からアプローチすることで、高齢者も家族も安心して過ごせる毎日がきっと手に入ります。
<高齢者の筋力低下を防ぐ簡単な運動習慣>
実例(私の母):継続は力なり!バランスボールと足ツボ板の活用
私の母は、日々の生活の中で無理なくできる運動を5年以上続けています。
バランスボールに軽く腰かけて、お尻で押すような動きをすることで、体幹とバランス感覚を鍛えています。
※バランスボールはあえて少し空気を抜いて安定させて使用。
また、足裏のツボを刺激する「足つぼボード」で足踏み運動も行っており、足腰の感覚を日々鍛えています。
これらの運動は、見た目よりも地道ですが効果的な転倒予防習慣です。
ちなみに私は足つぼが痛くて断念しました…😂。
<シルバーカーは「早め」の導入が鍵>
歩行時の不安定さを感じたら、シルバーカーの使用もおすすめです。
私の母には、孫から誕生日プレゼントとしてシルバーカーを贈りました。
「孫からの贈り物」という特別感もあって、母は喜んで外出時に活用しています。
使い始めるタイミングが早ければ早いほど、外出への抵抗が減り、活動的な生活を続けやすくなります。
私の母はスーパーで無料のアルカリ水(2L)をもらってくるのが日課ですが時々買い物もしてきます。肩の腱がきれてる母には重い荷物を持って歩くのは苦です。そんな時に時もシルバーカーはとても役立ってます。
<こんな場面も…自分の布団につまずいて骨折>
最近、整形外科の待ち時間に隣に座っていた高齢者との会話。印象に残るエピソードを聞きました。
その方は「自分の布団につまずいて転倒し、骨折した」とのこと。
慣れたはずの寝室でも、思わぬ危険が潜んでいるという事実に改めて驚かされました。
転倒はどこでも起こる可能性があります。
だからこそ、普段から「自分の動線」「生活パターン」を家族で一緒に見直すことが大切です。
「慣れている場所ほど油断しがち」——これは高齢者の転倒リスクでよくある落とし穴です。
布団、敷物、マットなど、身近なものが思わぬ原因になることもあります。
毎日の生活の中にある“つまずきやすさ”を意識して、今日からできる対策を始めましょう🍀