親が体調を崩して日常生活が難しくなったとき、あるいは認知症かもしれないと感じたとき、多くの方が最初に直面するのが「介護認定」の申請です。介護保険サービスを利用するには、要介護度が決まる介護認定を受ける必要があります。しかし、申請の手順や調査の内容が分かりにくく、不安を感じている方も少なくありません。
介護認定は「申請 → 訪問調査 → 主治医意見書 → 認定審査会・結果通知」という流れで進み、結果が届くまでにおおよそ30日ほどかかります。
この記事では、初めての方でも安心して取り組めるように、介護認定の流れを4ステップでわかりやすく解説します。さらに、スムーズに進めるための工夫や注意点もご紹介します。
介護認定とは 介護保険サービスを利用するための第一歩
介護認定とは、介護保険サービスを利用するために「どの程度の介護が必要か」を自治体が判定する仕組みです。申請を行うと調査や審査を経て、要介護度が決まり、介護サービスの利用範囲や支給額が定まります。
介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルなど、公的な支援を活用できるようになります。逆に認定を受けていなければ、介護保険のサービスを使えず、すべて自費負担になってしまいます。
つまり介護認定は、親の介護を現実的に進めるための第一歩であり、早めに取り組むことが安心につながります。
申請から結果までの流れを4ステップで解説
ステップ1:申請をする
介護認定の申請は、親が住んでいる市区町村の窓口(介護保険課など)で行います。本人や家族のほか、ケアマネジャーや地域包括支援センターに依頼して代理申請することも可能です。申請時には、本人の健康保険証や主治医の情報が必要となります。
ステップ2:訪問調査を受ける
申請後、調査員が自宅や入院先を訪問し、本人の心身の状態を確認します。調査項目は身体の動きや食事・排泄などの生活動作に加え、認知症の有無や意思の伝達状況まで多岐にわたります。家族が同席して、日頃の様子を伝えるとより正確な判断につながります。
ステップ3:主治医意見書の作成
並行して、主治医が本人の病状や生活状況について「主治医意見書」を作成します。認定の判断材料として非常に重要なため、普段から親の状態をよく知る医師に依頼するのが望ましいです。
ステップ4:認定審査会で判定・結果通知
調査結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が「要介護度」を判定します。結果は「非該当(自立)」から「要支援1・2」「要介護1〜5」の7段階。申請からおよそ30日後に通知が届きます。
介護認定をスムーズに進めるための工夫
家族が普段の様子をメモしておく
訪問調査の際に「普段どの程度できているか」を正確に伝えることはとても大切です。たとえば「食事は自分でできるが、片付けはできない」「夜中にトイレに起きることが多い」など、日常の様子を簡単にメモしておくと役立ちます。
医師に現状を詳しく伝える
主治医意見書は認定に直結するため、診察時に「自宅での介護の様子」や「困っていること」をきちんと伝えることが必要です。医師が普段の生活の細かい状況を知らない場合もあるため、家族が補足するとスムーズに進みます。
地域包括支援センターを活用する
申請方法が分からない場合や手続きが不安な場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。申請の代行や必要書類の確認などをサポートしてもらえるため、初めての人でも安心です。
余裕を持って申請する
介護認定の結果が出るまでには約1か月かかります。急な入院や在宅介護が難しくなったときに慌てないよう、早めに申請しておくことが大切です。
入院中でも諦めない
もし親が入院中で介護サービスを先に自費で利用した場合でも、その後に介護認定が下りれば「償還払い」という仕組みで差額が戻ってくるケースがあります。状況によっては大きな負担軽減につながるため、入院しているからといって申請を先延ばしにせず、早めに動くことをおすすめします。
まとめ
親が介護を必要とすると感じたとき、最初に行うべきなのが「介護認定の申請」です。申請から訪問調査、主治医意見書、審査会を経て、約1か月後に要介護度が決まります。この結果によって、利用できる介護サービスや自己負担額が変わってきます。
スムーズに進めるためには、普段の様子を記録しておくことや、主治医に家庭での状況をしっかり伝えることが大切です。さらに、入院中でも介護認定を受けておけば、償還払いで費用が戻る可能性があるため、迷わず早めに申請することが安心につながります。
介護認定は、親の介護生活を支えるための第一歩です。少しでも不安を減らすために、早めに情報を集め、地域包括支援センターなどの専門機関を上手に活用していきましょう。