親の介護を考えるとき、避けて通れないのが「どの施設を選ぶか」という問題です。しかし、介護施設には種類が多く、名前だけでは違いがわかりにくいのが実情です。
代表的な選択肢は 特別養護老人ホーム(特養)・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) の3つ。それぞれ費用や入居条件、サービス内容が大きく異なります。
まずは各施設の特徴を理解し、親の介護度や生活スタイルに合った選択肢を整理しておくことが、後悔しない施設選びの第一歩です。この記事では、3種類の施設の違いをわかりやすくまとめ、選ぶ際のポイントを紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)とは
特別養護老人ホーム(通称:特養)は、公的な性格が強い施設で、費用を抑えて長期的に暮らせる点が大きな特徴です。
- 入居条件
原則として「要介護3以上」の認定を受けた方が対象となります。寝たきりや認知症など、日常生活において常時介護が必要な方が中心です。 - 費用面
公的施設のため比較的安く抑えられます。年金の範囲で入居できる方も多く、経済的負担は小さいのが魅力です。 - 注意点
入居希望者が多く、地域によっては数か月から数年待ちになることがあります。急ぎで入居を希望する場合は、特養だけでなくほかの施設も候補に入れておく必要があります。
有料老人ホームとは
有料老人ホームは、民間が運営する施設で、介護や生活支援サービスを受けながら生活できる住まいです。種類が多く、サービス内容や費用も幅広いのが特徴です。
- 種類と特徴
有料老人ホームは大きく分けて3種類あります。
1. 介護付き有料老人ホーム:職員が常駐し、日常の介護サービスを受けられる
2. 住宅型有料老人ホーム:生活支援が中心で、介護サービスは外部から利用する
3. 健康型有料老人ホーム:自立した高齢者向けで、介護が必要になると退去が必要 - 費用面
公的施設よりも高めですが、その分サービスや立地、居室の設備などを自由に選べます。入居一時金がかかる場合もあり、費用は数十万円から数千万円までと幅があります。 - メリットと注意点
施設ごとの特色が強く、本人の希望に沿った暮らしを選びやすいのがメリットです。ただし、費用負担が大きくなりやすいため、長期的に支払えるかを確認しておくことが大切です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、比較的新しい住まいの形で、バリアフリー設計の居室に加え、安否確認や生活相談といった基本的なサポートを受けられる施設です。
- 対象者
自立した生活が可能、もしくは軽度の介護が必要な方が多く入居しています。元気なうちから入れる点が特養や有料老人ホームとの大きな違いです。 - サービス内容
見守りや安否確認、生活相談が基本で、介護サービスは外部の事業者を利用します。自由度が高いため、生活スタイルを自分らしく維持しやすい点が特徴です。 - 費用面
家賃・共益費・サービス費用が中心で、有料老人ホームほど高額にはならないことが多いです。ただし、介護サービスを外部に依頼する場合はその分の費用がかかります。 - 注意点
介護度が重くなった場合、外部サービスだけでは対応が難しくなり、再び住み替えを検討する必要が出るケースもあります。
選ぶときのポイント
介護施設の種類がわかっても、実際にどの施設を選ぶかは迷うところです。判断の目安になるポイントを整理しておきましょう。
- 介護度に合った施設を選ぶ
要介護度が高ければ特養や介護付き有料老人ホームが現実的です。比較的元気な場合はサ高住も候補になります。 - 医療ニーズを考慮する
糖尿病でインスリン注射が必要、在宅酸素を使用しているなど、医療的ケアが必要な場合は看護師が常駐している施設を選ぶ必要があります。 - 費用の見通しを立てる
毎月の支出と年金のバランスを確認し、無理のない範囲で払える施設を選ぶことが大切です。 - 生活スタイルの希望を確認する
レクリエーションを楽しみたい、できるだけ自由に暮らしたいなど、本人の希望を尊重することが後悔のない選択につながります。 - 将来の変化を想定する
今は元気でも、数年後には介護度が進むかもしれません。長期的に住み続けられるかどうかを考える視点も欠かせません。
まとめ 施設の違いを理解して親に合う選択を
介護施設には、特養・有料老人ホーム・サ高住といった種類があり、それぞれに入居条件やサービス内容、費用の特徴があります。
親の介護を考えるときは、「今の状態」と「これからの変化」を想定しながら選ぶことが大切です。費用だけでなく、介護度や医療ニーズ、本人の希望を総合的に考えることで、納得のいく選択につながります。
情報を整理しておくことで、いざというときに慌てず対応できます。まずは施設ごとの特徴を理解し、親に合った生活の形をイメージしておくことから始めてみてください。