・「いただきます」の意味を、子どもが理解していない気がする
・食べ物を簡単に残したり、感謝の気持ちが薄れているように感じる
・命の大切さや食べ物の背景をどう伝えればいいかわからない
こうした悩みを感じている保護者や教育関係者は少なくありません。
そのままにしておくと、子どもは命や環境への関心が育たず、フードロスや感謝の欠如につながってしまうことも。
私は病気を機に食生活を改めて行く中でビーガンや日本の伝統文化を知り、「いただきます」の一言に込められた命への感謝や、命を無駄にしない姿勢の大切さを感じました。
この記事では、「いただきます」の意味を子どもにどう伝えるか、そしてビーガンに見る“命を大切にする心”との共通点を紹介します。
この記事を読むことで、子どもと一緒に食べ物への感謝やフードロスを考えるきっかけになれば嬉しいです。
最終的には、「命をいただいて生きている」ことの意味を、子どもと一緒に考え楽しい学びとなれば幸いです。
子どもに「いただきます」の意味をどう伝える?
『ただのあいさつじゃない「いただきます」の本当の意味』
食事の前に言う「いただきます」。多くの子どもたちは、毎日あたりまえのように口にしています。
でも、その意味を本当に理解している子は、意外と少ないかもしれません。
「いただきます」は、ただのマナーではありません。
この言葉には、食べ物となった動物や植物、料理を作ってくれた人たち、食材を運んだ人や育てた人たちへの”深い感謝の気持ち”がこめられています。
「命をいただいて、今ここに生きている」。
そう考えると、一言の重みが変わってきます。
『 ”いただく” は命をもらうこと』
「いただく」は、もともと目上の人から何かを”ありがたくもらう”ときに使う言葉です。
実は、この言葉の中には “命”をいただいている という意味が隠れています。
魚やお肉だけではありません。
植物だって生きていて、太陽の光を浴び、雨を吸い、大地に根を張って生きています。
だから、私たちは食べるとき、命をもらっているのです。
それを自分の命につなげる――この考え方は、日本だけでなく、世界中の命を大切にする文化にも通じています。
日本人が昔から大切にしてきた食への感謝
日本には古くから、自然の恵みや命に感謝する精神があります。
「いただきます」や「ごちそうさま」は、アニミズム(石やおもちゃなど、生きていないものにも心や命があると考えること)や仏教的な命の尊重の心から生まれた言葉です。
食事を通じて、自然の力、人の力、そして命のつながりに気づく。
それが、日本人が受け継いできた食文化の大切な部分です。
ビーガンが大切にしている「命への敬意」とは?
『肉や魚を食べない理由は”命を尊重するため”』
ビーガンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ビーガンは、お肉や魚、卵、乳製品などの”動物性の食べ物を一切とらない人たち”です。
彼らがそれを選ぶのは、動物が苦しまないようにという”倫理的な理由や、環境への配慮が背景にあります。
つまり、”命を尊重した生き方”を選んでいるのです。
食べないことだけが目的ではなく、「どう生きるか」を大切にしているライフスタイルなのです。
『ビーガンの種類と特徴(子どもにもわかりやすく)』
ビーガンの種類 | 特徴 |
ヴィーガン | 動物性の食べ物を一切とらない。服や日用品でも動物由来を避ける。 |
ダイエタリー・ヴィーガン | 食べ物では動物性を避けるが、服などはあまり気にしない。 |
フルータリアン | 果物や種子だけを食べる。植物もなるべく傷つけないようにする。 |
ロー・ヴィーガン | 生の食べ物(加熱せず48℃以下)を食べる。酵素や栄養を大事にする考え方。 |
動物も植物も“生きている”という考え方
ビーガンの考え方の根底には、”「命はすべて平等」”という思想があります。
動物が苦しむ環境を減らすだけでなく、地球の未来や人間社会にとっても優しい選択肢であると考えています。
この考え方は、動物だけでなく植物にも向けられることがあります。
生きているものを“いただく”という意識があるからこそ、”無駄にしない”、”感謝して食べる”という態度が自然と生まれるのです。
『 日本の「いただきます」と共通する精神』
実は、ビーガンの命に対する考え方と、日本の「いただきます」の心はとてもよく似ています。
どちらも”「命をいただくからこそ、感謝して生きる」”という精神が根底にあります。
ただ食べるだけではなく、「これは命だ」と意識して食べる。
これは、食育の出発点ともいえる大切な視点です。
子どもにどう伝える?命の教育の実践ヒント
『 難しくない!子どもに伝える簡単な言葉』
🍀「このお肉は、もともと生きていたんだよ」
🍀「野菜も、お水を飲んで太陽の光で育ったんだよ」
🍀「この食べ物は、いろんな人が作ってくれたんだよ」
こうした言葉で、「食べ物=命」という感覚が自然と伝わります。
『絵本や体験活動で感謝の心を育てる』
⭐️畑で野菜を育てる
⭐️市場やスーパーで食材を選ぶ
⭐️動物とふれあう体験をする
『おすすめ絵本』
📚いただきます ごちそうさま
📚いのちをいただく
📚おにぎりに なりたい
『フードロスの話をするタイミングと伝え方』
🍎食べ物を残したときに「命がかわいそうだね」と優しく声がけ
🍎今日は残さず食べられてうれしいね」と一緒に喜ぶ
食べ物を大切にする心が、地球を守ることにつながる
『食べ残しを減らすことが命を大切にすること』
日本では毎年約500万トンの食べ物が捨てられています。
これは単なる“もったいない”ではなく、”命を無駄にしている”ということです。
『家庭でもできる!小さなアクションの積み重ね』
💡食べられる量だけ盛りつける
💡冷蔵庫をチェックして買いすぎを防ぐ
💡 残り物をアレンジする
💡子どもと一緒に食材を選ぶ
『子どもと一緒に「感謝の食卓」をつくろう』
「このごはんにはどんな命があるかな?」と声をかけるだけでもOKです。
「いただきます」は命にありがとうを伝える魔法の言葉です。
命に感謝する心を、食卓から育てよう
「いただきます」は、命への感謝の気持ちを表す大切な言葉です。
ビーガンの考え方にも通じるように、食べ物はかつて生きていた命。
それをいただいて私たちは生きています。
私自身、病気をきっかけに食生活を見直す中で「ビーガン」という言葉を知り、命を大切にするという生き方に深く共感するようになりました。
退院後の数ヶ月は、マクロビオティックにも取り組みながら、自分の体と丁寧に向き合う時間を過ごしました。
それ以来、食べ物の背景や命の価値について、より意識するようになりました。
この記事を書きながら思い出したのは、田舎で過ごした子ども時代のことです。
私の家は農家で、両親が田んぼや畑でお米や野菜を育てている姿を日々見て育ちました。
ご飯茶碗に米粒を残すと「お百姓さんが泣くよ」と叱られたことも、今では大切な宝物のような記憶です。
まずは家庭の食卓から。
子どもと一緒に、感謝の心と命の尊さを育てる食育を始めてみましょう。
今日の「いただきます」が、きっと子どもたちの未来をやさしく照らしてくれるはずです。