- 最近、親が同じ話を何度も繰り返すようになった
- 予定を忘れたり、物の置き場所がわからなくなったりしている
- 「年のせい」なのか「認知症の始まり」なのか判断できない
そのまま見過ごしていると、認知症が進行してしまうかもしれません。
本人が気付かないまま症状が進むと、日常生活への影響が大きくなり、家族の負担も増していきます。
この記事では、家族として「親の異変」にどう向き合い、どう対応すればよいかを具体的にまとめています。
看護・介護・医療の現場で語られている最新の知識をベースに、現実的で実行可能な方法をご紹介します。
「親が認知症かもしれない」と感じたときに、見逃してはいけない初期症状のサインと早期治療で進行を遅らせる対応策をまとめています。
この記事を読むことで、親の症状が認知症かどうかを判断しやすくなり、
必要な医療的サポートや家庭での対応をいち早く取ることができます。
認知症は早期発見・早期対応によって進行を遅らせることができます。
家族が気付き、動くことで、親の生活の質を守ることが可能です。
親が認知症かもしれないと思ったときに知るべきこと
認知症の初期サインは「気付きにくい日常の変化」
認知症の初期には、はっきりとした症状が出るとは限りません。
最初に現れるのは、「ちょっとした変化」です。
たとえば、
- 同じ話を何度も繰り返す
- 物の置き場所がわからなくなる
- 財布や鍵を頻繁に探す
- 料理や掃除の手順を忘れる
こうした行動は、加齢によるものとも取られがちですが、頻度が増えていたり、生活に支障が出始めている場合は注意が必要です。
老化と認知症の違いを見極めるポイント
老化による物忘れは「体験全体は覚えているが一部を忘れる」のが特徴です。
一方、認知症の場合は体験そのものを忘れていることが多くなります。
たとえば、
- 老化:朝ごはんを食べたことは覚えているが、メニューを思い出せない
- 認知症:朝ごはんを食べたこと自体を覚えていない
また、認知症では「見当識障害」といって、時間や場所、人を認識する力が低下していきます。
たとえば、季節感や曜日がわからなくなったり、近所で迷子になるようなことが増えます。
早期発見が重要な理由とは?
認知症の進行は、発見が遅れるほど加速する傾向があります。
しかし、初期段階(MCI=軽度認知障害)のうちに対応すれば、進行を遅らせたり、回復の可能性すらあるとされています。
早期発見により、
- 本人が生活のコントロールを維持できる
- 家族の介護負担が軽減される
- 医療・福祉支援の準備がしやすくなる
など、多くのメリットがあります。
認知症の中核症状と周辺症状の違い
中核症状は脳の変化による本質的な症状
中核症状とは、認知症の進行によって脳が直接ダメージを受けることで現れる症状です。
主に以下のようなものがあります。
- 記憶障害:新しいことが覚えられない
- 見当識障害:時間や場所が分からなくなる
- 実行機能障害:段取りや計画が立てられない
- 失語・失行・失認:言葉が出てこない、動作ができない、人や物が分からない
これらは認知症の種類にかかわらず、ほとんどの人に共通して現れます。
周辺症状(BPSD)は環境や性格の影響が大きい
一方、周辺症状(BPSD)は、中核症状による混乱や不安から生じる二次的な心理・行動症状です。
たとえば、
- 徘徊
- 妄想(物を盗まれたなど)
- 暴言や暴力
- 抑うつや不安
- 睡眠障害や介護拒否
これらは人によって現れ方が異なり、環境や接し方で改善できる場合も多いです。
中核症状を見つけるために家族ができること
認知症の中核症状は、本人が自覚しづらいため、家族の観察が重要になります。
具体的には、
- 会話の内容や言葉の使い方を意識する
- 約束やスケジュールが守られているか確認する
- 物の置き場所が変わっていないか見る
- 日時や人の認識に違和感がないか聞いてみる
ちょっとした違和感を記録しておくことで、受診時の診断にも役立ちます。
早期発見のために家族ができる4つのこと
定期的な認知機能チェックのすすめ
半年に1回でも、簡単な認知機能のチェックを行うことで変化に気付けます。
最近はスマートフォンでできるアプリや自治体による無料のチェックシートもあります。
初期に現れやすい具体的な症状とは?
- 知っている人の名前が出てこない
- 約束を忘れることが増える
- 時計の読み間違いがある
- 買い物や支払いが難しくなる
- 趣味や関心が薄れてくる
これらは見逃されがちですが、初期症状としてよく見られるサインです。
家族や周囲の観察と記録が鍵になる
本人は自分の変化に気付きにくいため、家族が観察し「記録する」ことが早期発見のカギとなります。
スマホのメモやノートに日付と症状を記録しておくと、医師にも伝えやすくなります。
本人の自尊心に配慮した受診のすすめ方
「病気かもしれないから」ではなく、「最近ちょっと疲れてるかもね、一緒に検査してみようか」など、自然な形での受診提案が効果的です。
決して否定や強制にならないよう、本人のプライドを守ることが信頼関係の維持につながります。
認知症と診断された後に取るべき対応とは
早期治療によって進行を遅らせる方法
認知症は完治しませんが、薬やリハビリによって進行を数年単位で遅らせられることがあります。
特に、初期段階では治療効果が高く、認知機能の維持が期待できます。
生活環境の整備と家族のサポートが重要
認知症と診断されたら、次に大切なのは生活環境の見直しです。
- 危険な場所を減らす
- 使いやすい動線に整理する
- ラベルや写真で視覚的にサポートする
また、本人の「できること」を奪わず、見守る支援が進行を遅らせる要素にもなります。
地域包括支援センターなどの相談先の活用
市区町村にある「地域包括支援センター」では、認知症の相談や支援制度の案内が受けられます。
本人が受診を嫌がる場合の対応、介護サービスの手続きなど、家族だけで抱え込まない仕組みがあります。
MCI(軽度認知障害)の段階での対処が未来を変える
MCIの段階での介入で回復の可能性も
MCIは、認知症の前段階とされますが、**ここでの対応次第では元の状態に戻る可能性も14〜44%**あるとされています。
リハビリ・投薬・生活改善の効果と実例
- 有酸素運動(ウォーキングや体操)
- バランスの取れた食事
- 認知リハビリ(パズル、会話、日記など)
- 薬物療法(ドネペジルなどの抗認知症薬)
これらを組み合わせることで、生活機能と認知機能の維持が期待できます。
自立した生活を維持するための取り組み
早期に介入すれば、本人が自分らしく暮らし続ける時間が延びます。
また、家族も将来の準備や支援計画を立てやすくなります。
まとめ🥰「気付き」と「行動」が親の未来を守るカギ
親の物忘れや日常の変化に「認知症かもしれない」と感じたとき、
早めに気付き、正しい知識で行動することが、進行を遅らせる最善の方法です。
早期発見によって、適切な治療やサポートが可能になり、
本人の生活の質を保ち、家族の負担も大きく軽減されます。
もし少しでも不安を感じているなら、
まずは認知機能のチェックや専門機関への相談を始めましょう。
「まだ大丈夫」と思わず、気付いた今が行動のタイミングです。